北海道の庭で、野菜と共にハーブ・野草・山菜を育てる菜園家。また、それらの食材の楽しみ方・調理方法をプロとして、Yahoo!などの様々なメディアで発信している。Instagram・ブログ『料理+菜園づくり 食育インストラクターracssの日々の暮らし』で、その様子を公開中。
これまでは「包丁では上手に皮をむけない人のための便利グッズ」みたいなイメージがあったピーラー。
しかし、最近は様々な用途のピーラーが発売されていて、手軽な調理器具として注目を集めています。
たとえば、キャベツの千切りができる「千切りピーラー」や、ペティナイフのように使える「I字型ピーラー」などが人気です。
T字型ピーラーのようなベーシックな形以外にも、いろんな形のピーラーを使い分けることで幅広い料理に活用することができます。
また、ピーラーを包丁の代わりに野菜をカットするアイテムとして使うと、数々の「ピーラー料理」も作れますよ。
この記事では、ピーラー各種の使い分け方や時短になる簡単ピーラー料理をご紹介します。ピーラーをもっと活躍させてみませんか?
ピーラーの種類
ピーラーは包丁より楽に薄く均一な皮むきやスライスができるのがメリット。
T字型ピーラーが一般的ですが、I字型ピーラーや他の形のピーラーも気になっているという人は多いのではないでしょうか。
まずは今回使用するアイテムをご紹介します。
- I字型ピーラー
- ワイドピーラー(T字型ピーラー)
- 千切りピーラー
1.I字型ピーラー (オクソー「縦型ピーラー」)
2.ワイドピーラー (貝印「セレクト100 T字型ワイドピーラー」)
3.千切りピーラー (オクソー「千切りピーラー」)
それぞれの使い方を詳しく解説しますね。
I字型(縦型)ピーラーの使い方
I字型ピーラーは、リンゴをむくときのように親指を食材に当てて、刃の進み方をコントロールします。
横に刃を進めると皮をつなげてむくことができますが、小さい食材の場合は刃の進む方向を縦にする方がうまくいきます。
また、向こう側に押し出す形で使えるのもI字型ピーラーの特徴。
ごぼうのささがきを作る時も楽ちんです。
同じ要領でニンジンや大根など細長い食材の皮むき、削ぎ切りが素早くできます。
このI字型ピーラーには、先端にジャガイモの芽取りがついています。深くこじり取れる形なのが便利です。
このように小さな食材の方が得意なI字型ピーラーですが、刃が長めでキャベツなど大きな食材にも使える大型タイプもあります。
用途に応じてチェックしてみてくださいね。
ワイドピーラー(T字型)の使い方
T字型ピーラーの中でも幅広のワイドピーラーは、大きな食材の皮むき・スライスが効率よく行えます。
今回使用したワイドピーラーは、刃の部分の幅が9.8cmあり、通常サイズの1.5倍です。
大きいからと言って小さい食材が扱いにくいかというとそうでもなく、ジャガイモ、ニンジンなども通常サイズのピーラーと同じ感覚で皮むきができます。
そして、幅が広いお陰で刃の隙間に皮が詰まることが少ないのが特徴です。
ワイドピーラーの幅はどの商品も大体10cm前後ですが、持ち手の長さは商品により差があります。
収納場所が限られる場合は持ち手の長さも忘れずチェックしてくださいね。
ちなみにこのピーラーは持ち手を含めた全体の長さが約16cmで、普通サイズのピーラーとあまり変わりません。
ワイドピーラーでキャベツの千切りをするコツ
ワイドサイズのピーラーは、キャベツの千切りができることが魅力の一つです。
でも実際使ってみると、思っていたよりうまく切れないとか、散らばってしまうことも。
ワイドピーラーをうまく使いこなしてキャベツの千切りをするコツは、この3つが挙げられます。
ワイドピーラーでキャベツの千切りをするコツ
- キャベツの目の詰まった部分を使う
- キャベツの芯を上側にして固定
- 力任せにしない
まず1つ目が、キャベツの目の詰まった部分を使うこと。
表面に近いふわふわした葉は取り除いて別の料理に使うと良いでしょう。
また、キャベツの芯を上側にして固定する方が、葉がめくれて引っかかることを防げます。
広い面を削るというよりも、角を削るようにすると長いカットができ、細かな切れ端が飛び散りにくくなります。
そして、手に力を入れすぎず、ふわっと刃を滑らせるような意識でやってみてください。
ちなみに、キャベツの千切りに特化して開発されているピーラーは、刃に様々な工夫がされています。
もしキャベツメインで使おうと思っている場合は、専用の「キャベツピーラー」の方がおすすめ。
また、大型スライサーを持っている人には必要ないかもしれません。
千切りピーラーの使い方
「千切りピーラー」は、細切り野菜のサラダをよく作る場合にあると便利です。
出来上がりの千切りの細さは刃のギザギザの大きさで決まるため、商品によって違いがあります。]
このピーラーは(OXO オクソー 千切りピーラー)、比較的太めの千切りになるタイプ。少し歯ごたえを残す仕上がりにぴったり。
ズッキーニパスタや大根のサラダ、キャロットラペやジャガイモのガレットなどを作るときに便利な道具です。
きんぴらごぼうを作るにはコツが必要
実はきんぴらごぼうを作るのに、「ごぼうの千切りが楽になりそう」という思いで千切りピーラーを使うことにしましたが、少しコツがいることが分かりました。
まず、この千切りピーラーで固いごぼうを削るのは思った以上に力が必要です。
また、繊維の流れに沿って削らないときれいな「千切り」の太さが出ません。
きんぴらごぼうに適した長さにカットするには、ごぼうを寝かせたままではなく、やや立てた状態で固定して先端を削る、といった工夫もしなくてはなりません。
千切りピーラーできんぴらごぼうを作るコツ
- ごぼうの繊維の流れに沿って削る
- ごぼうをやや立てた状態で固定して先端を削る
また、これはごぼうに限りませんが、千切りピーラーで切っても切り始めなどの一部がつながったまま切れることがあります。
そのため、気になる部分はあとから手でばらすひと手間もかかります。
それでも、千切りピーラーを使うと、包丁で切りそろえるのよりはかなりスピードアップ!
好みの仕上がりになる使い方を見つけられるかどうかが、千切りピーラーを使いこなすポイントになりそうです。
【種類別】ピーラーの使い分けまとめ
実際にいくつかのピーラーを使用してみて、ピーラー各種のおすすめの用途や料理を下記のようにまとめてみました。
ピーラーの使い分け表
- T字ピーラー…面が広い食材の皮むき
- I字ピーラー…細長い食材の皮むき、ごぼうのささがき
- ワイドピーラー…大きな食材の皮むき
- 千切りピーラー…細切り野菜のサラダ作り
- キャベツピーラー…キャベツの千切り
ご家庭によってよく作る料理は異なると思いますので、あると便利なピーラーを見極めていろんな料理に活用してくださいね。
【比較】100均ピーラーと刃物メーカーのピーラーの違い
この右側のピーラーは、わたしが何年も愛用している100均のピーラー(日本製)です。
ちょっとカーブした持ち手や立てて置けるデザインも気に入っています。数年使って壊れたときは、同じものをもう一度購入したほど。
ですが、やはり刃物メーカーのピーラーには切れ味の点でかないません。
レンコンやかぼちゃ、ごぼうなどのちょっと固い食材に使うときは、100均ピーラーだとかなり力を入れないと切りにくいです。
今回は100均のピーラーと1,000円前後の刃物メーカーのピーラーを比較し、何が違うのかをまとめてみました。
【ピーラー比較】100均ピーラーVS貝印のピーラー
今回刃物メーカーのピーラーとしてピックアップしたのは、貝印株式会社の「セレクト100 T字型ワイドピーラー」というアイテム。
まずは、刃の見た目。
刃を比べてみると、左側のT字型ワイドピーラーは波打っていて、食材が張り付かない工夫がされているのが分かりますね。
また、刃が斜めに取り付けられていて、食材の切り始めに食い込みやすくなっています。
100均ピーラーと貝印ピーラーの芽取り部分の比較
また、この2つのピーラーには、ジャガイモの芽取りに使う部分の使いやすさにも差がありました。
100均のピーラーの方は、出っ張りがついているだけでかなり力が必要なため、わたしはほとんど使ったことがありません。
わざわざ後から包丁に持ち替えてジャガイモの芽をとっていました。
しかし、この貝印のステンレスピーラーの場合は下の方に芽取りがついていて、握る手を少しずらすだけで使えます。
薄いステンレスの輪状になっていて軽い力でえぐることができ、包丁のあごを使ってとるときよりきれいな形で処理が可能。
このように、100均のピーラーと1,000円前後の刃物メーカーのピーラーとでは、作りにいくつもの差があります。
もしピーラーの使用頻度が高かったり、まとめて大量の食材に使うことがあるのであれば、貝印などのメーカー品がおすすめ。
手の疲れ具合や作業効率がかなり違いますよ。
皮むきだけじゃない!ピーラー100%活用術
ピーラーというのは英語の「peel(むく)」に由来する「むく道具」ですので、もちろん普段は野菜の皮をむくために使うことが多いですね。
しかし、ピーラーを野菜をカットするための道具として活用すると、包丁で切るときとは違うメリットがあります。
ピーラーを使うメリット
- 包丁よりも素早くカットでき時短になる
- 薄くカットできるのですぐ火が通る
- 短時間で味が染みやすい。
ピーラーは固い根菜類を手軽に調理するのにとても向いています。
包丁で切った時とは違う、長いリボン状のひらひらした見た目と柔らかい食感が、マンネリ化しがちないつものおかずをイメージチェンジしてくれますよ。
お手持ちのピーラーでできる、簡単テクニックです。
ピーラーで野菜をリボン状にスライスする方法
リボン状に薄くスライスしたニンジンや大根などの根菜は、スープやサラダにピッタリ。
ピーラーで上手にスライスするためには、材料をしっかり安定させるのが最大のコツです。
こんなふうに材料の一部分をまな板につけて固定すると、長くリボン状にむくことができます。
またこのように完全に寝かせた状態でピーラーを動かすのもおすすめ。
野菜を転がしながら、平均にむいていけるようにします。
さらにどんどんむいていって小さくなってきたら、フォークを刺して押さえるようにしてみてください。
残りわずかになったら、あとは包丁で小さくカットするか、他の料理に使うために別にしてしまってもいいと思います。
ピーラーでチーズをスライスする方法
野菜以外にも、ピーラーが活躍するシーンがあります。
固まりのナチュラルチーズを削りたてで食べるのはとても美味しいもの。
ナイフで削ってもいいですし、チーズ専用の「チーズカッター」などもありますが、普通のピーラーでも代用ができます。
こちらの写真は左から、ワイドピーラーで削ったもの、真ん中は千切りピーラーで削ったもの、右側がI字型ピーラーで削ったチーズ。
ワイドピーラーを使うと、幅広で薄くスライスができました。
千切りピーラーでは散らばりやすいのが難点ですが、細かいスライスができました。
I字型ピーラーでも、チーズの角を削るようにしながらスライスができます。
チーズをパスタに散らしたり、クラッカーやパンに乗せたりするには、これくらい薄い方が美味しいですね。
チーズカッターの代用としてお手持ちのピーラーを使ってみては?
野菜が主役!ピーラーでつくるおすすめ時短レシピ
ここからは、ピーラーで作れるおすすめの時短料理レシピをいくつかご紹介します。
ピーラーは特に根菜を調理するのに向いているアイテム。身体によい根菜を手軽に料理に取り入れましょう。
【レシピ1】ピーラーで簡単!大根ヌードルとハムのスープ
野菜を細長くヌードル状にしてベジヌードル(ベジパスタ)として食べることもできます。
ダイエット中の代替ヌードルとしてもおすすめ。
材料(2人分)
- 大根100g
- ハム 少々
- 水 400cc
- コンソメキューブ2個
- 塩コショウ 適量
作り方はこちら。
1.大根はピーラーで薄くカットする。
2.ハムは細切りにする。
3.鍋に分量の水とコンソメキューブ、大根、ハムを加えて煮立てる。
4.3分程度煮て大根が半透明になったらOK。
5.塩コショウで味を調えてできあがり。
大根がヌードル状なので、スプーンよりフォークやお箸のほうが食べやすいかもしれません。
大根はびっくりするほどほんの数分で火が通るので、ピーラーでカットする手間を考えてもかなりの時短になりますよ。
ニンジンなど他の野菜でも作ることができますが、加熱時間は材料に合わせて加減してください。
【レシピ2】リボン状で味がなじみやすい!ニンジンのマリネ
ピーラーで野菜をカットすると、包丁で切るより野菜に調味料の味がなじみやすいという特徴があります。
それを活かしたマリネもおすすめです。
材料(4人分)
- ニンジン 大1本
- レーズン 適量
- オリーブオイル 大さじ2
- 酢 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
- 塩 小さじ1
- 塩コショウ 少々
作り方はこちら。
1.ニンジンはピーラーで薄くカットする。
2.ボウルに調味料とレーズンを合わせ、ニンジンを加えてよく混ぜる。
3.2時間ほどおいて味をなじませる。
4.長く置くほどしっとりとなじむので、作り置きおかずとしてもおすすめです。
なじませる時間が取れず、すぐに食べたい!という場合は、ピーラーでカットしたあとに分量の塩をまぶして手で揉んでください(塩もみ)。
塩もみをしてから残りの調味料と合わせます。
【レシピ3】ひらひらジャガイモのごま油炒め
ジャガイモをピーラーでカットすると炒め物にも最適です。
材料(4人分)
- ジャガイモ(大きめ・メークイン)2個
- ブナシメジ 1パック
- ごま油 大さじ1
- 醤油 大さじ1
作り方はこちら。
1.ジャガイモはピーラーで薄くカットします。
2.フライパンにごま油を熱し、ブナシメジと一緒に炒めます。
3.ジャガイモが半透明になればOK。
4.最後に醤油をまわしかけ、盛り付けます。
ジャガイモをリボン状にむくには、細長い形のメークインがおすすめです。
メークインは煮崩れしにくく、炒めるレシピにもぴったり。
今回ご紹介のレシピで使用した大根、ニンジン、ジャガイモの他にも、こんな野菜のカットでピーラーは大活躍します。
ピーラーでカットするのに向いている野菜サツマイモごぼうカボチャけがをしないように注意しながら、いろいろ試してみてくださいね。
まとめ
今回は日本の家庭ではあまり浸透していないI字型ピーラーや千切りピーラーなどの使い方をご紹介しました。
慣れれば包丁より早く野菜の皮をむくことができ、料理の時短にもつながります。
また、ピーラーで野菜をカットする「ピーラー料理」もとても簡単なので、いろんなアレンジを楽しんでください。