下着や靴下、マスクといった細々としたものを干すのに便利な角ハンガー(ピンチハンガー)。
多くのご家庭にある洗濯用品ではないでしょうか。
そんな角ハンガーですが、
ピンチ多いとよく絡まるので使いづらい…
ピンチの数は多いのに思っていたより干せる数が少ない…
など、使い勝手に関するお悩みは意外と多いようです。
そこで、干しやすく収納もしやすい理想の角ハンガーを見つけるため、様々な比較・実験をしてみました。
毎日の洗濯を快適にしたい方は、ぜひチェックしてみてください。
目次
角ハンガーを使うとき、こんなお悩みありませんか?
角ハンガーは、このようにたくさんのピンチが付いています。
角ハンガーや丸ハンガーなどは、別名ピンチハンガーとも呼ばれています。
ピンチとは洗濯バサミのことで、英語の「pinch(つまむ・はさむ)」からきています。
ハンガーでは干しづらい下着や靴下、よだれかけやマスク、ハンカチなどなど、細々としたものを干すのに使う洗濯用品です。
角ハンガーは他の洗濯用品と同じく、100均などで安価で販売されているものもあります。
が、安さだけを重視して購入すると、使っているうちに様々なお悩みが生まれてしまうようです。
- ピンチをよく割ってしまう(割れやすい)
- ピンチがつまみにくい
- ピンチが絡まって取れなくなる
- 洗濯物の重さでたわんでしまう(洗濯物が傾いてちゃんと乾かない)
「角ハンガーの違いってピンチ数だけじゃないの?」
というのは大間違い!
実は、角ハンガーはピンチの数だけでなく、素材や構造もものによって大きく異なります。
今回編集部では4つの「角ハンガー比較実験」を実施。
比較【1】ピンチの割れにくさ
比較【2】ピンチのつまみやすさ
比較【3】ピンチの絡みにくさ
比較【4】フレームの強度
今お使いの角ハンガーがなんとなく使いづらい、買い替えたいけどどの角ハンガーを選べばいいか分からないという方は、実験の内容をぜひ参考にしてください。
比較【1】ピンチが割れにくい角ハンガーは?
ピンチ(洗濯バサミ部分)がよく割れる!という意見の中には、「つまんだだけでバリバリッと割れた…」なんてものも。
まずは、角ハンガーのピンチの耐久性について比較していきたいと思います。
ピンチが割れる!その原因は?
ピンチが割れる一番の原因は紫外線。
プラスチック、中でもポリプロピレンでできているものは、紫外線によるダメージが大きい材質です。
紫外線が当たると、酸素と反応して酸化し、つながっている分子がバラバラに切れてしまうんだとか。
プラスチック製の角ハンガーはたくさんありますが、大抵のピンチはフックに引っかかっているだけなので、割れたらピンチだけを交換することができます。
ただ、交換しても交換してもピンチが割れるという不便は繰り返されますね…。
ピンチが割れにくい角ハンガーの素材
劣化の原因である紫外線の影響を受けないものとなると、2つの素材にスポットが当たります。
- ポリカーボネート
- ステンレス
同じプラスチックでも劣化しにくい「ポリカーボネート」
こちらはピンチがポリカーボネートの角ハンガー。
一見普通のプラスチックのようですが、ポリプロピレンの角ハンガーと比べてみるとかなり透明です。
これはポリカーボネートの特徴。
ポリカーボネートは、ガラスの代替素材として様々な製品に使われています。
プラスチックですが、紫外線を通さないので劣化しにくいんです。
ただし、紫外線の影響をまったく受けないわけではなく、使っているうちに変色はしてしまいます。
ポリプロピレンより長持ちはするものの、やっぱりプラスチックはプラスチック。経年劣化は避けられないんですね。
耐久性抜群の「ステンレス」
オールステンレスの角ハンガーは、プラスチック製の角ハンガーと比べると、群を抜いてスタイリッシュ。
ステンレスは金属なので紫外線の影響で劣化することもなく、サビにも強いので経年劣化の心配もほとんどないと言えます。
ただし、ステンレス製品はプラスチック製品よりも価格が高い傾向があります。
角ハンガーの場合も、ステンレス製のものはプラスチック製に比べるとかなり高価なので、気軽に買い替えがしにくいというデメリットもあります。
実際に売り場で角ハンガーを目にしたとき、やはり目につくのは「安さ」でしょう。
しかし、長い目でみると価格は高くてもステンレス製はお得ですし、おすすめです。
気になる場合はプラスチック製の中でも劣化しにくい「ポリカーボネート」を選ぶと良いでしょう。
比較【2】つまみやすいピンチの角ハンガーは?
硬くてつまみにくいピンチだと、干したり取り入れたりするときにストレスになってしまいますよね。
ということで、今回はピンチの「つまみやすさ」に注目して比較していきたいと思います。
比較【1】と同じくピンチ部分の素材が違う3種類の角ハンガーを用意しました。
- ステンレス製
- プラスチック製(ポリカーボネート)
- プラスチック製(ポリプロピレン)
素材が違えばピンチの形も違う
ステンレス製の角ハンガーはプラスチック製に比べるとサイズが小さめ。
これはステンレス自体の重さが関係しています。
耐久性ではダントツのステンレスですが、その分プラスチックよりも重い材質なのでコンパクトに作られているのです。
ステンレスの重さを回避する秘密は、サイズ以外にもあります。
それが、角ハンガー自体の構造が線で作られている点。
このシンプルなデザインもステンレス製ハンガーの人気の理由のひとつでもありますが、実はこの構造のせいでピンチがつまみにくいという声も…。
3種類の角ハンガーのピンチ部分だけを比べてみると、こんなかんじ。
大きな違いは、つまむところが面になっているか、そうでないか。
ステンレス製角ハンガーのピンチは、つまむところに穴が空いていますね。
シンプルな形のピンチはつまみにくい?
さっそくステンレス製角ハンガーのピンチつまんでみました。
すると指がグニュ…。
予想通り、つまむところが面ではないので、どうしても指の1点に集中して力がかかってしまいます。


「ピンチのつまみやすさ」を重視するなら、シンプルデザインのステンレス製角ハンガーよりも、プラスチック製の角ハンガーに軍配が上がります。
ピンチに求められるのは「つまみやすさ」だけではない
ピンチの素材の違いは、「つまみやすさ」以外の部分にも影響を及ぼします。
1つは、洗濯物の乾きやすさ。
プラスチック製の角ハンガーの場合、洗濯物をはさむピンチが面でできています。
そのため、厚手のハンカチなどを干した場合は、ピンチではさんだところだけ乾きが遅くなることが。
その点、ステンレス製角ハンガーははさむところに穴が空いているので、比較的乾きやすいと言えます。
ピンチが冷たい…冬は辛いステンレス
もう1つが、ピンチを触ったときに感じる温度。
ステンレスは熱が伝わりやすいという特徴があり、気温や室温の影響を受けやすいのです。
つまり、寒い冬には触ると「冷たい!」と感じてしまうかも…。
紫外線や風雨に強いからといって、ステンレス製ハンガーを屋外に置きっぱなしにしておくのは避けた方が良いでしょう。
ピンチのつまみやすさは、洗濯物を干す時間・干しやすさに直結する問題。
ピンチの耐久性は高いステンレスですが、つまみやすさという点ではプラスチックにもメリットがあることが分かりました。
比較【3】ピンチが絡まない角ハンガーは?
角ハンガーにつきものなのが「ピンチが絡まって取れなくなる」という問題。
いざ洗濯物を干そうと角ハンガーを開くと、ピンチが絡まって開かない…。
急いでいるときは、本当にイライラしますよね。
まずはピンチが絡んでしまう原因を追究してみましょう。
ピンチの絡まりはどうして起こる?
角ハンガーは場所を取るので、使わないときはたたんでおくことが多いですよね。
角ハンガーをたたむとき、ピンチとフレームとワイヤーがギュッと集まります。
フレームとワイヤーは、これ以上動きませんが、ピンチはブラブラと動くもの。
ピンチ同士が引っ掛かったり、ピンチがフレームやワイヤーに引っ掛かったりすることで絡まりは起こるのです。
つまり、ピンチが良く動く角ハンガーほど絡まりやすいと言えます。
ピンチが良く動く角ハンガーの見分け方
今回はいくつか形状の違う角ハンガーを用意。
それぞれの角ハンガーをたたんで広げて、ピンチがどれくらい動くのかテストします。
- ランドリーハンガー(株式会社シービージャパン)
- ジャンボ角ハンガー(東和産業株式会社)
- ピンチからまん角ハンガー(株式会社アイセン)
- アルモア スマート(株式会社オーエ)
- 室内干し角ハンガー(株式会社ダイヤコーポレーション)
ピンチの絡まり検証の手順

干していた洗濯物を取り終えたところと仮定して、スタートは物干し竿から角ハンガーを取るところから。

フレームを持ち、矢印の方向にたたみます。すでになんだかピンチは不揃いな感じ…。

たたんで広げてを3回繰り返します。

今回使用した「ランドリーハンガー」は、残念ながらテスト中にピンチが絡まってしまいました。
一方、際立ってピンチが動かなかったのは「ピンチからまん角ハンガー」。
たたんだ状態でもピンチの向きが揃っています。フレームもピタッと閉じることができました。
3回たたんで広げてみて、ピンチがバラバラと動いたもの、動かなかったものに分けてみました。

実験の様子は動画でも撮影しています。
ピンチが動くか動かないかは「ピンチの付き方」にある?
ピンチが動いた3つのハンガーに共通するのは、ピンチがフックで引っ掛けられていること。
フックで引っ掛かっているだけなので、ピンチは自由自在に動くことができます。
対して、ピンチが動かなかった角ハンガーのピンチはフックで引っ掛けられていません。
このように、フレームの穴にしっかりと差し込まれてあるので、左右の動きは制限されますね。
角ハンガーをたたむ向きにも違いが
ピンチが動かなかったもうひとつのハンガー、「室内干し角ハンガー」には別の理由がありました。
この角ハンガーは、ピンチがぶら下がった状態のまま折りたたむことができるので、ピンチが不規則に動きません。
これは谷折りというたたみ方で、他の4種類の角ハンガーとはたたむ向きが違うんです。
フレームの内側にピンチをはさまないので絡みにくいと言えますね。
谷折りと山折り、たたんだところを横から見てみます。
谷折りにしている「室内干し角ハンガー」は、フレームがピッタリ合わさっています。
ピンチは外側に出ていますが、竿に掛けるフック部分が内側に入っているので、よりスッキリした印象です。
角ハンガーを比較して明らかになったのは、ピンチの絡みやすさは角ハンガーについている「ピンチの付き方」と深く関係しているということ。
ピンチが絡むことにストレスを感じているなら、ピンチが角ハンガーのフレームにしっかりと差し込まれているタイプを選ぶといいかもしれません。
また、数は少ないですが、谷折りにたためるものならよりピンチが絡みづらいですよ。
ピンチが絡まない角ハンガーのたたみ方は?
実験しているうちに分かったことは、物干し竿に掛けた状態でたたむことでピンチが絡みにくくなるということ。
物干し竿に掛けておけば、ピンチの向きが揃うので絡みにくくなります。
たたんだ状態の角ハンガーの向きを横に逆さにと変えてしまうと、ピンチが動いて絡む原因になりますので、覚えておいてくださいね。
比較【4】洗濯物の重みでたわまない角ハンガーは?
濡れた洗濯物は意外と重いので、洗濯物を干すと角ハンガーのフレームがたわんでしまうことがあります。
フレームの丈夫さは気になるところ。
メーカーさんの話によると、角ハンガーの強度はフレームをひねってみれば分かるとのこと。
さっそく角ハンガーをひねってみました。
こちらはフレームがプラスチック製の角ハンガー。
グイッとひねるとかなりの手ごたえ!8の字になるぐらいまでひねることができました。
一方、フレームがアルミ製の角ハンガーは、かなり力を入れても大きく曲がることはありません。
やはり、プラスチックよりアルミのほうが頑丈だからでしょうか。
フレームがたわまない角ハンガーの見分け方
今回は角ハンガーのフレーム部分に着目し、いろんな素材・形状のものを集めました。
- ジャンボ角ハンガー(東和産業株式会社)
- スチール角ハンガー(ニシダ株式会社)
- ランドリーハンガー(株式会社シービージャパン)
- ピンチからまん角ハンガー(株式会社アイセン)
- アルモア スマート(株式会社オーエ)
- 室内干し角ハンガー(株式会社ダイヤコーポレーション)
- オールステン角ハンガー(株式会社レック)
これらの角ハンガーに負荷をかけ、フレームのたわみ具合を比較してみます。
フレームのたわみ具合の実験

角ハンガーの対角線上にあるピンチにバスタオルをはさみます。

ハンモックのようになったバスタオルに水を入れた900mlのペットボトルをそっと乗せてみます。
すべての結果をまとめて見てみましょう。

程度の差はあるものの、ほとんどの角ハンガーのフレームが曲がってしまいました。
フレームが一番曲がったのは、比較【2】でピンチが絡みにくいという評価を受けた「室内干し角ハンガー」。
一方、ほんの少ししか変化がなかったのは、フレームがアルミ製の「アルモア スマート」でした。
「室内干し角ハンガー」と比べると、フレームのたわみ方にはかなりの違いがあります。
フレームは素材だけでなく「太さ」と「構造」も要チェック
「アルモア スマート」は、このように太めのアルミフレームが特徴です。
「じゃあ金属性のフレームのものを選べばいいのか!」と思われるかもしれません。
しかし、今回の実験ではステンレス製の角ハンガー2種類も、プラスチック製と同じくらいフレームが曲がってしまいました。
重要なのは素材というよりも、「フレームの太さ」のようです。
「オールステン角ハンガー」のフレームを見てみると、この通りフレームがかなり細いです。
また、同じくステンレス製フレームの「スチール角ハンガー」の場合は、フレームがコの字になっており、この通り薄くて中が詰まっていません。
洗濯物の重みに耐える丈夫なフレームは 太くて中が詰まったものと言えそうですね。
フレームを支えるチェーンやワイヤーも重要
もうひとつのポイントは、フレームを支えるチェーンやワイヤーでしょう。
ひときわ目立って曲がってしまった「室内干し角ハンガー」には、フレームを支えるチェーンやワイヤーがありません。
開閉時にはピンチが引っかかりにくく、見た目もすっきりしていて良いのですが、実はこれがフレームが大きくたわむ原因でもあったようです。
ただ、「室内干し角ハンガー」には補助フックが付いています。
左右2つの補助フックも一緒に物干し竿に掛けておけば、フレームのたわみが抑えられるようになっています。
プラスチック製の角ハンガーでフレームがたわみにくいものをお探しなら、「チェーンやワイヤーの有無」そして「補助フックの有無」も確認してくださいね。
角ハンガーのピンチの配置には意味がある?
角ハンガーのピンチの配置を気にされる方は少ないでしょう。
実は、ピンチの数が同じでもその並び方は角ハンガーによって結構違うんです。
こちらの2種類の角ハンガーは、どちらもピンチ数が36個。
左の角ハンガーより右の角ハンガーの方が、ピンチが多いように見えませんか?
ピンチの並び方が違うと、見た目の印象もずいぶん違いますね。
タオルの「渡し干し」が得意な角ハンガー
フレームが水玉模様のレトロな「スチール角ハンガー」は、販売開始から半世紀経つ人気商品。
36個もピンチが付いてるの?と不思議に思うくらいにすっきりした見た目です。
ピンチの配置に注目してみると、ピンチの大半が外側のフレームについています。
実は、昔は内側にピンチを付ける技術がなく、外側のフレームにだけピンチが付いているのが角ハンガーの定番の形だったんだとか。
こういったピンチの配置は、タオルなどの渡し干しをするのに好都合。
外側のピンチを最大限に使うと、一度にタオルを14枚も干すことができます。
一般家庭でよく使われるフェイスタオル(幅は約35cm)の幅に合わせて作られているため、干したときのタオルはたるみも少なく、きれいに干すことができています。
また、フックからフレームまでの長さが短いので、丈の長い洗濯物を干しても洗濯物が下に付かないという配慮がうれしいですね。
まさしく、タオル類の渡し干しするのに最適な角ハンガーと言えるでしょう。
一方、先ほど「スチール角ハンガー」と比べていた「ピンチからまん角ハンガー」でタオルを渡し干ししてみるとこの通り。
干すことができたタオルは8枚。ピンチとタオルの幅が合っておらず、タオルのたるんでいるのが気になります。
また、せっかく内側に付いているピンチがまったく使えていません。
「ピンチからまん角ハンガー」が得意な干し方は別にあるようです。
小物をたくさん干すのが得意な角ハンガー
「ピンチからまん角ハンガー」が長けているのは、靴下や下着などの小物を干すこと。
ピンチが内側にもギュッと集まっている分、省スペースで干すことができます。
「隠し干し」が得意な角ハンガー
また、このように洗濯物を隠して干したいなら、内側にもまんべんなくピンチが付いている方が便利です。
「隠し干し」が得意なのは、「ピンチからまん角ハンガー」の方と言えます。
この「ピンチからまん角ハンガー」のもうひとつの特徴は、ワイヤー部分の長さが調整できてこのように壁際にも掛けられること。
鴨居やドアにも掛けることができるので、部屋干しが多いという方にはうれしい機能です。
角ハンガーのピンチの配置には意味があるということがお分かりいただけたかと思います。
大前提としてピンチの数は大切ですが、ピンチの配置も角ハンガーを選ぶポイントのひとつに加えてみてください。
買ってから後悔しないよう、しっかり角ハンガー選びを!
角ハンガーと一言に言っても、ピンチの数や形状、配置、そしてフレームの構造などはものによって様々。
買ってから「なんとなく使いづらい」と悩んでしまうのは避けたいですよね。
今回の記事を通して、理想の角ハンガー選びがはかどりますように!

