毎年暑くなってくると、熱中症に関するニュースをよく聞きますよね。
熱中症は最悪の場合、命にかかわることもあるので、甘く見てはいけません。
いつ誰が熱中症にかかるか分からないので、「自分に関係ない」と思わず、熱中症に関する知識を身につけておくことは大切です。
以前、『熱中症対策の飲み物』のお話をしましたが、今回は食べ物のお話をします。
熱中症対策になる食べ物や摂りたい栄養素、熱中症にかかってしまった時の食事のポイントなどを紹介しているので、ぜひ最後まで目を通してくださいね。
目次
熱中症にかかりやすい環境や状態って?
熱中症になるリスクが高まるのは、いったいどんなときでしょうか。
まずは、熱中症になりやすい環境と、熱中症になりやすい人はどういう人かについて知っておきましょう。
熱中症になりやすい環境
始めに、熱中症になりやすい「環境」からご説明していきます。
- 気温が高い
- 湿度が高い
- 風が弱い
- 急に暑くなった日・暑くなり始めた日
- 日差しが強い
ご存知の通り、日本の夏は高温多湿なので、熱中症にかかるリスクがグッと高まります。
外気温が35度以上になると猛暑日と言われますが、真夏日と言われる外気温が31度以上になると、熱中症になるリスクが高まります。
湿度が高い、風が弱いなどの条件がそろった時は、特に要注意です。
熱中症になりやすい人
また、このような外部環境に加えて、自分自身の体調によっても熱中症にかかりやすくなってしまうのです。
どんな人が熱中症になりやすいのかをまとめてみました。
- 3食きちんと食べていない
- ダイエット中
- 二日酔い
- 寝不足
どうしてこのような状態のときに熱中症になりやすくなるのか、詳しく見ていきましょう。
【熱中症になるリスクが高い人】3食きちんと食べていない
3食欠かさず食べることは、熱中症対策にもなります。
食事を食べるのは、エネルギーや栄養素を補うだけでなく、同時に水分も補うことになるからです。
特に、朝食を抜いている人は熱中症のリスクがグッと高まるので、要注意ですよ!
というのも、寝ている間にも汗をかいているので、朝起きたときにはすでに水分不足の可能性があります。
その状態でさらに朝食を抜くと、十分な水分が補えないまま作業や運動をすることになってしまいます。
少しでも熱中症にかかるリスクを下げるためにも、きちんと3食欠かさず食べてくださいね。
【熱中症になるリスクが高い人】ダイエット中
3食きちんと食べない話にも通じるのですが、ダイエット中の人も熱中症にかかりやすいです。
ダイエットのために、食事量を減らしたり、欠食したりする人も多いので、やはり水分が不足している可能性が高いでしょう。
また、ダイエット中は栄養素が不足している可能性もあるので、体調不良から熱中症にかかることも。
暑くなって熱中症のリスクが高まってきたら、ダイエット中の人は意識的に水分補給や食事内容の見直しをしてくださいね。
【熱中症になるリスクが高い人】二日酔い
二日酔いで体調が良くないときもあるでしょう。
実は、二日酔いになっているときは、熱中症にかかるリスクが上がります。
理由は、体内に残ったアルコール由来の有害物質を排出するために、水分がたくさん必要だからです。
少し水分補給をしたところで、それ以上に尿として水分が排出されるので、体の中は常に水分不足になっています。
水分と一緒に体内のビタミン類が排出されているのもよくありません。
二日酔いの状態で炎天下で作業や運動をするのは危険なので、屋外で作業する予定がある前の晩のお酒はほどほどにしてくださいね。
【熱中症になるリスクが高い人】寝不足
真夏は暑くてジメっとしているので寝苦しく、寝不足になる人も多いでしょう。
一見関係なく見えますが、寝不足も熱中症にかかりやすくなる原因です。
寝不足の状態だと体の温度を調整する機能が低下してしまうため、熱中症にかかりやすくなってしまいます。
体によくないと思ってエアコンを我慢するのではなく、上手に利用して十分な睡眠を確保してくださいね。
熱中症を未然に防ぐ!効果的な栄養素と食べ物
熱中症を防ぐには水分補給や体調管理も必要ですが、食べ物に気をつけることで熱中症になるリスクを低らすことができます。
注目すべきなのは、食品に含まれる栄養素。
では、どんな栄養素や食べ物が効果的なのか見ていきましょう。
熱中症対策に効果的な栄養素【1】ビタミンB1
ビタミンB1は、主に炭水化物(糖質)の代謝に関係がある栄養素です。
体を動かす機会が多い人は、特にビタミンB1が多く必要となります。
ビタミンB1が不足すると、だるさや疲れ(夏バテの症状)、集中力の低下といった不調の原因に。
これらの不調は熱中症のリスクを上げてしまうので、ビタミンB1をしっかり補給しましょう。
- 豚肉
- うなぎ
- レバー
- 玄米
- 卵
- 枝豆
- ピーナッツ など
熱中症対策に効果的な栄養素【2】カリウム
カリウムには、細胞の浸透圧を調整したり、体の水分をキープしたりする働きがあります。
カリウムが不足すると、こむら返りや熱けいれん、内臓の機能低下などが起こりやすくなるのです。
カリウムは汗と一緒に流れ出てしまうので、しっかり補給する必要があります。
- 野菜
- 豆類
- 海藻 など
熱中症対策に効果的な栄養素【3】ビタミンC・クエン酸
ビタミンCは、抗酸化作用やコラーゲンの合成、疲労回復などに関係する栄養素です。
疲れた状態だとストレスがたまりがちなので、ビタミンCでストレスに対抗しましょう。
クエン酸も、疲労回復に効果的な栄養素です。
体にたまった乳酸1有機化合物の一種。体に蓄積されると疲労の原因物質と言われている。を取り除く効果が期待できるので、素早く疲労回復ができます。
- 柑橘類(ビタミンC・クエン酸)
- キウイフルーツ(ビタミンC・クエン酸)
- 柿(ビタミンC)
- 苺(ビタミンC)
- じゃがいも(ビタミンC)
- パプリカ(ビタミンC)
- ブロッコリー(ビタミンC) など
熱中症対策に効果的な栄養素と食べ物が分かったところで、それらを実際にどのように摂取すればいいのかを解説します。
今回は「朝食」や「捕食」、「夏バテで食欲が低下している時」に分けて、それぞれのおすすめのメニューをご紹介していきますよ。
朝食におすすめのメニュー
捕食におすすめのメニュー
夏バテ時におすすめのメニュー
食事でできる熱中症対策【1】朝食におすすめのメニュー
こちらでは、熱中症対策におすすめの朝食メニューをご紹介します。
朝食にはごはん派とパン派の人がいると思うので、それぞれにおすすめのメニューや組み合わせをご紹介します。
ごはん派におすすめのメニュー
ごはん派の人は、ぜひ味噌汁をセットで摂るようにしてください。
その理由は、
- 味噌汁で適度な水分と塩分がとれる
- 味噌汁の具(野菜やわかめ)でカリウムがとれる
- 食欲がなくても汁物なら食べやすい
といったところにあります。
「夏場に朝から熱々の味噌汁なんて飲めない!」という人は、冷やした味噌汁でもOKです。
宮崎県には冷や汁という冷たい味噌汁があるように、意外と冷たくしてもおいしくいただけますよ。
もし、朝から味噌汁を作る時間がない人は、インスタントやフリーズドライの味噌汁でも代用できます。
また、腐らないよう気をつけなければなりませんが、前の晩に多く作って朝飲むのもよいでしょう。
時間があれば卵料理や納豆などをプラスして、さらに栄養を整えてくださいね。
- ごはん(エネルギー源)
- 納豆(たんぱく質&ビタミンB群)
- 具だくさん味噌汁(水分&塩分&カリウム&ビタミン類)
パン派におすすめのメニュー
手軽にどこでも食べられるパンは朝にもってこいですよね。
しかし、パンだけだと水分や栄養素が不足しがちになりますので、牛乳や野菜入りのスープなどをプラスしてみましょう。
また、菓子パンよりもサンドイッチなど、野菜やたんぱく質が含まれているパンの方がおすすめです。
- サンドイッチ(エネルギー源&カリウム&ビタミン類)
- 野菜入りスープ(水分&塩分&カリウム)
- 牛乳(水分&カルシウム&たんぱく質)
食事でできる熱中症対策【2】補食におすすめのメニュー
熱中症リスクが高い環境で運動や作業をしていると、3食だけでは不十分なこともあります。
そこで、休憩中に補食を摂ることをおすすめします。
- 果物(スイカやバナナ)
- はちみつレモンなどの柑橘類
- 梅干し(もしくは梅干しおにぎり)
なぜこれらを捕食に選ぶとよいのか、それぞれのメリットをご説明しますね。
捕食に摂る果物ならスイカやバナナがおすすめ
果物にはカリウムが多く含まれています。
先ほども説明したように、カリウムは汗と一緒に流れ出てしまうので、果物で補給しましょう。
特に、スイカやバナナにはカリウムが多く含まれているので補食にぴったりです。
暑くて食欲がなくても、あっさりとしてみずみずしい果物なら食べやすいはず。
また、バナナにはエネルギー源になったり疲労回復に役立つビタミンB6が含まれているので夏バテ時にもおすすめです。
果物だけでなく塩分補給も
果物では塩分がとれません。
そこで、果物に少量の塩をかけて食べるのもひとつの手段です。
冷やしておいた果物に塩をかけると、意外と食べやすいですよ。
はちみつレモンなどの柑橘類は疲労回復に効果アリ◎
柑橘類には、ビタミンCやクエン酸が含まれています。
疲労回復にうってつけの栄養素なので、こちらも補食にもってこいです。
また、柑橘類は年中手に入りやすいのもメリット。
柑橘類をそのまま食べるのもOKですが、レモンのはちみつ漬けなどにするのもおすすめです。
はちみつはエネルギー源になるので、もうひと頑張りする力になります。

梅干し+おにぎりでエネルギー補給も!
すっぱい梅干しには、クエン酸が豊富に含まれています。
塩分も含んでいるので、熱中症対策にうってつけなのです。
ただ、梅干しだけを食べられない人も多いと思います。
そんなときは、梅干しを使ったおにぎりがおすすめです。
おにぎりにすれば、一緒にエネルギーも補給できます。
食事でできる熱中症対策【3】夏バテ時に食べやすいメニュー
屋外の暑さと冷房がきいた室内の冷たさによる温度差が原因で、夏バテになってしまう人もいますよね。
夏バテになると食欲がわかなくなり、十分な食事がとれないことも。
前述の通り、栄養や水分が不足すると熱中症のリスクを高めてしまいます。
そんな夏バテのときでも食べやすいメニューをいくつかご紹介します。
夏バテ時に食べやすいメニュー|酢など酸味のある料理
酸味のある料理は、さっぱりして食べやすいですよね。
味付けをポン酢に変えるなどの方法も手軽でおすすめです。
梅干しを料理に混ぜたり、ソースに使ったりするのもおいしくて食べやすいですよ。
- 冷やし中華
- 酢豚
- 酸辣湯

夏バテ時に食べやすいメニュー|のどごしのよい料理
麵類など、のどごしがよい料理なら食べられるという人も多いはず。
ただ、麵類だけで食事を済ませると、ビタミンやミネラルが不足します。
麵類には野菜や海藻、肉などのトッピングを加えてくださいね。
- 納豆おろしそば
- 冷やし中華
- ネギ塩豚のぶっかけうどん
夏バテ時に食べやすいメニュー|スタミナ料理
「食欲がないのにガッツリしたものは…」と思うかもしれませんが、にんにくの香りをかげば、食欲がわくかもしれませんよ。
特に豚肉を使ったスタミナ料理は、夏バテを解消する栄養素を含んでいるのでおすすめです。
- 焼肉丼
- 豚キムチ
- レバニラ炒め
- 餃子
薬味を活用するのもおすすめ
料理ではありませんが、大葉やみょうが、しょうがなどの薬味を料理に使うのも食欲増進におすすめの方法です。
爽やかな風味の薬味を使えば、少しは食事が摂りやすくなるかもしれません。
メニューに悩んだら、薬味を活用することも思い出してくださいね。

熱中症にかかってしまった時の食事のポイント
気をつけていても熱中症になることもあります。
もし熱中症になってしまったら、そのあとの食事に気を配ることも大切です。
ここでは、熱中症から早く回復するための食事のポイントをお伝えします。
ポイント【1】カリウムなどミネラルを含む食事にする
熱中症になったあとは、体の中の電解質のバランスが崩れています。
飲み物だけでは十分補えないので、食事でカリウムなどミネラルを補給しましょう。
先ほども説明したように、カリウムは野菜や海藻、果物などに多く含まれています。
- アボカド納豆
- 海藻サラダ
- ひじき煮
- もずく酢
- ラタトゥイユ
- 冷やしトマト
ポイント【2】ビタミンB1を含む食事にする
夏バテが原因で熱中症になる可能性もあります。
再び熱中症にかからないようにするためにも、ビタミンB1を多く含む食事を摂って、夏バテ状態を解消しましょう。
ビタミンB1は水溶性(水に溶ける性質)なので、摂り溜めができません。
毎日コンスタントにビタミンB1を含む食事を摂って、こまめに体に補給してあげましょう。
- ポークソテー(ヒレや肩がおすすめ)
- レバー煮
- 冷しゃぶサラダ
- ポークビーンズ
- うなぎの蒲焼
ポイント【3】ビタミンCを含む食事にする
ビタミンCには、細胞の状態を正常に保つ働きがあります。
ビタミンCも水溶性なので、ビタミンB1などと同じように体にためておけません。
また熱に弱いので、食材を長時間煮込むとビタミンCが少なくなってしまいます。
野菜を使った料理を作る際は、煮汁ごと飲めるスープにしたり、生でも食べられるサラダを足したりするとよいですね。
ビタミンCは疲労回復にも効果的なので、日ごろから意識して摂ってください。
- 生野菜のサラダ
- パプリカの肉詰め
- ブロッコリーのチーズ焼き
- ポテトサラダ
- キウイフルーツと小松菜のスムージー
コンビニやスーパーでも買える回復食
普段から自炊をしていない人や、熱中症の後遺症でごはんを作れない場合もあるでしょう。
そんなときは、無理に料理をしようとせず、スーパーやコンビニの食事を利用してくださいね。
スーパーやコンビニで買えるものでは、豚肉を使った料理やサラダ、枝豆、梅干しのおにぎりなどがおすすめです。
もし、ごはんを食べる元気もない場合は、ビタミンが多く含まれているゼリー飲料などでもいいので、とりあえず口にしてくださいね。
暑くなる前から食事に気をつけて熱中症対策をしよう
熱中症対策で大切なのは、暑くなってから急に食事を変えるのではなく、暑くなる前から食事に気を配ることです。
今回ご紹介したように、
- ビタミンB1
- カリウム
- ビタミンC・クエン酸
また、日ごろから睡眠時間をしっかり確保したり体調を整えておくことも、とても大切ですよ。
暑い夏も、熱中症にかからず元気に過ごしましょう!

