キャセロールと聞くと、なんとなくグラタンのようなオーブン料理を想像される方が多いと思います。
実は、「キャセロール」という言葉はフランス語で「鍋」という意味。
キャセロールは焼きたての料理をそのまま食卓に出すことができる万能なお鍋で、アメリカをはじめ多くの諸外国の家庭料理に用いられています。
こちらの記事では、そんなキャセロールの選び方やおすすめのアイテムなどをご紹介します。
素材によって使い勝手も様々。おすすめの使い方や料理、お手入れ方法なども少しずつ異なるので、ぜひ参考にしてください。
日本で馴染みのある和風レシピもお伝えしますよ♪
キャセロールとは
キャセロールは、フランス語で鍋(casserole)を意味します。
主には厚手でフタ付きの両手鍋のことで、この鍋で調理してそのまま食卓に出す料理のことを指す場合もあります。
家庭で親しまれた「キャセロール料理」
語源はフランス語ですが、実は北米生まれのキャセロール。
1950年代のアメリカでは、キャセロールの鍋を使った家庭料理が人気を博しました。
その人気が高まった理由は、スープ缶などのメーカーとして有名なキャンベル社が、自社製品のクリームオブマッシュルームのスープ缶を使った簡単料理を紹介したのがきっかけでした。この簡単な調理方法は当時、ファミリー層を中心に好まれ、キャセロール鍋にクリームスープなどのベースとなる缶詰を入れ、麺やマグロや野菜などのさまざまな食材を加えることで、各家庭でオリジナルのアレンジ料理を楽しんでいました。
このようなキャセロール料理は、冷凍や冷蔵保存をして後から調理したりすることもできるため、料理人など調理を仕事とする人にも好んで使われていました。
また、一般家庭においては戦時中の食糧不足対策の節約として使われることが多かったそうです。
このような時代背景もあり、手軽にできて節約にもなる料理という理由で、人々に長く愛されてきました。
使い勝手の良い便利な両手鍋
キャセロール料理に用いられる両手鍋も、使い勝手がよく作られています。
現在でも、キャセロール鍋は焼きたてで熱々の料理をそのままテーブルへ運べる両手鍋の代名詞として知られており、米やパスタ料理を作る際に使われたり、グラタンなどのオーブン料理、ピザやスイーツなどにも幅広く用いられています。
何と言っても、食器に移し変えずに鍋のまま食卓に出すことができる手軽さが魅力です。
厚手の材質なので、シチューなどの煮込み料理や蒸し焼き料理に向いていて、アレンジ幅が広い鍋としても親しまれています。
手軽にたっぷり料理を作れるという特徴も、人気の理由の1つ。
特別な日の料理の盛り付けであったり、パーティーの時の盛り付け役のお皿として活躍します。
キャセロールの素材の種類—使える熱源・お手入れ方法—
キャセロールの材質には主に耐熱ガラス、耐熱磁器、鋳物ホーローなどの種類があり、それぞれ使える熱源や扱い方が異なります。
こちらでは、それぞれの素材にどんな特徴があるのか、またどうやってお手入れをすればよいのかご紹介します。
耐熱ガラス製のキャセロール
耐熱ガラス製のキャセロールは、透明なので中身が確認しやすいのが特徴。
蓋を開けなくても、中の状態が分かりやすいです。
ガラスはにおい移りが少ないので、保存容器としても使うこともできます。
また、熱が冷めにくいので熱々の状態をキープしたい料理にも向いています。
一方、金属よりも熱伝導がよくないので、金属の鍋と同じ感覚で調理すると、火の入り具合が違うかもしれません。
熱い状態のガラスをいきなり水に浸けて冷ますと、ヒビが入る恐れがあります。金属系に比べると、破損しやすいのもデメリットです。
- 中身が確認しやすい
- におい移りしにくい
- 料理が冷めにくい
- 熱伝導が良くないので、作るのに時間がかかる
- 破損しやすい
耐熱ガラス製キャセロールが使える熱源
耐熱ガラス製のキャセロールは、オーブン、電子レンジの使用が可能です。
ガスコンロでの使用については、メーカーによって直火可タイプと不可タイプがあります(いずれもIHコンロは不可)。
OKな熱源 | オーブン、電子レンジ、ガスコンロ(※) |
NGな熱源 | IH |
※直火NGなものもあるので要確認
耐熱ガラス製キャセロールのお手入れ方法
ガラス製品は食器用洗剤で優しく洗いましょう。
金タワシや粒子の粗いクレンザー、また研磨剤入りのナイロンたわしを使用すると傷がつく恐れがあります。
中性洗剤を含ませた柔らかいスポンジで洗ってください。
なお、食洗器で洗えるものも多いですが、中には使用不可な場合もあるので、よく確認してからにしましょう。
OKなお手入れグッズ | スポンジ、食器用洗剤、食洗器(※要確認) |
NGなお手入れグッズ | 金タワシ、クレンザー、研磨剤入りナイロンたわし |
耐熱磁器製のキャセロール
耐熱磁器製のキャセロールは、焼き物ですが陶器より硬く、吸水性はありません。
においや色移りがなく、比較的お手入れはしやすい材質といえます。保温力も期待できます。
ただし、耐熱といえど熱に弱いため、熱いまま冷水に浸すと破損する恐れがあります。
また、横からの衝撃には弱いので、ものにぶつけないよう注意する必要があります。
- におい・色移りしにくい
- 保温力が高い
- 急に冷やすと破損する恐れがある
- 横からの衝撃には弱い
耐熱磁器製キャセロールが使える熱源
耐熱磁器製のキャセロールでオーブン、電子レンジなどでの使用が可能かどうかは、メーカーによって異なります。
コンロでの使用についても注意が必要です。直火可のタイプと不可タイプがありますが、いずれもIHコンロは不可となっています。
OKな熱源 | オーブン、電子レンジ、ガスコンロ(※) |
NGな熱源 | IH |
※メーカーによっては対応していない熱源もあります
耐熱磁器製キャセロールのお手入れ方法
触れるくらいまで熱が冷めたら、食器用洗剤を使ってスポンジでこすり、ぬるま湯でしっかりとすすぎましょう。
汚れが落ちにくい場合は、少し水に浸けておくと落ちやすくなります。
金タワシやクレンザーも種類によっては傷をつけるおそれがあるので、控えましょう。
OKなお手入れグッズ | スポンジ、食器用洗剤 |
NGなお手入れグッズ | クレンザー、金タワシ、食洗器(△) |
ホーロー製のキャセロール
ホーロー製のキャセロールは表面がガラスでコーティングされているため、食材のにおい移りがしにくいという特徴があります。
酸にも強い素材のため、さまざまな料理に使うことができ、保存をする際にもおすすめです。
一方、ホーロー製は見た目よりデリケートな素材です。
コーティングは割れやすく、乱雑な扱いをしてはいけません。
また、傷がついた部分からサビが発生することもあるので、丁寧に扱うことが長持ちさせるコツです。
調理器具は木やシリコンなど柔らかいものを使用しましょう。
- におい移りがしにくい
- 食品の長期保存がしやすい
- ガラスコーティングは割れやすいので注意が必要
- 小さな傷からサビが発生することがある
ホーロー製キャセロールが使える熱源
金属とガラスのメリットを併せ持つホーロー素材のキャセロールは、オーブンでの使用が可能です。
ただ、フタはつまみの材質にもよるので扱いには気をつけましょう。
ガスコンロなどの直火に加え、IHコンロでの使用も可能なものも多いです。ただし、電子レンジの使用は不可です。
OKな熱源 | ガスコンロ、IH、※オーブン |
NGな熱源 | 電子レンジ |
※つまみの材質によっては、フタはオーブンNGです
ホーロー製キャセロールのお手入れ方法
重曹に少量の水を加えて洗い柔らかい布またはクッキングペーパーにつけて丁寧にこすって汚れを落とします。
複数回に分けて磨くと、汚れはきれいに落ちるでしょう。
金タワシなど固いものでこすると傷がつき、サビの原因になるので使用は控えてください。
また、急激に冷やすとガラス質にヒビが入る可能性があるので注意してください。
OKなお手入れグッズ | スポンジ、重曹、食器用洗剤 |
NGなお手入れグッズ | 金タワシ、クレンザー、研磨剤入りナイロンタワシ、食洗器 |
鋳物キャセロール
鋳物のキャセロールはとにかく頑丈です。
大切に使えば、一生付き合える道具になるかもしれません。
熱伝導がよく、保温性に優れているので、じっくり調理する料理に適しています。
一度温まれば、弱火でも食材にしっかりと火を通すこともできますよ。
鋳物は頑丈な分、重いのがデメリットです。
水や食材を入れるとさらに重たくなるので、運ぶ際には注意しましょう。
また、鋳物はコーティングされていないので、油がよくなじむまで食材がこびりつきやすいです。
- 丈夫で長く使える
- 熱伝導がよい
- 保温性に優れている
- 他の素材に比べると重い
- 油がなじむまでは食材がこびりつきやすい
鋳物キャセロールが使える熱源
鋳物キャセロールはフタが付いていないタイプが多く、その場合はオープンでの使用が可能です。
ただし、フタ付きタイプはつまみの材質を確認した上で使用してください。
IHコンロでも使えるタイプもありますが、メーカーや商品によります。
OKな熱源 | ガスコンロ、IH、※オーブン |
NGな熱源 | IH |
※つまみの材質によっては、フタはオーブンNGです
鋳物キャセロールのお手入れ方法
鋳物は油ならしをして、油膜を張らなければ食材がこびりつきやすくなります。
食器用洗剤で洗うと油膜がはがれてしまうので、できるだけ使わないようにしましょう。
どうしても匂いが気になる場合は食器用洗剤で洗ったあと、油ならしをしてくださいね。
普段のお手入れは、スポンジやタワシなどで汚れを落としましょう。
ただし、金タワシは塗装を剥がす可能性があるので避けた方が良いです。
その後、水分を飛ばす程度に加熱し、しっかり冷めたら片付けてください。
OKなお手入れグッズ | スポンジ、タワシ |
NGなお手入れグッズ | 食器用洗剤(△)、金タワシ、クレンザー、食洗器 |
セラミック製のキャセロール
セラミック製のキャセロールは、ホーローや鋳物に比べて軽いのが特徴です。
熱伝導もよく、蓄熱効果も優れています。
また、遠赤外線の効果で、食材をふっくらおいしく仕上げる効果もあるので、肉料理などにピッタリです。
熱を蓄えやすいというメリットがある一方、揚げ物など大量の油を使用する際、温度が上がりすぎることも。
煮物や焼き物などの用途に限定した方がよいでしょう。
また、強火で調理すると鍋の劣化を早める原因になるので注意が必要です。
- 軽くて扱いやすい
- 熱伝導や保温性に優れる
- 遠赤外線効果で食材がおいしく焼ける
- 揚げ物には向かない
- 強火での調理には向かない
セラミック製キャセロールが使える熱源
セラミック製キャセロールはフタ付きで販売されているものが多いので、フタのつまみの素材によってはオーブンでの使用ができないものもあります。
オーブン可のものでも耐熱温度が設定されている場合があるので、よく確認してください。
中にはIHでは使用できないものもあります。
OKな熱源 | ガスコンロ、IH、※オーブン |
NGな熱源 | IH |
※つまみの材質によっては、フタはオーブンNGです
セラミック製キャセロールのお手入れ方法
普段のお手入れは、食器用洗剤をつけたスポンジで汚れを落としましょう。
汚れが落ちにくい場合は、浸け置きをします。
よく汚れが落ちるからといって、金タワシやクレンザーで磨くとコーディングがはがれてしまうのでNGです。
OKなお手入れグッズ | スポンジ、食器用洗剤 |
NGなお手入れグッズ | 金タワシ、クレンザー、研磨剤入りナイロンタワシ、食洗器 |
ここまでキャセロールの基本的な使い方や使える熱源、お手入れ方法をお伝えしてきました。
キャセロールは万能なお鍋ですが、素材によっては扱い方やお手入れ方法に注意が必要なものもあるので、ぜひ選ぶ時は参考にしてくださいね。
【素材別】キャセロールのおすすめの使い方&料理
ここからは、キャセロールのおすすめの使い方や料理を材質別にご紹介します。
耐熱ガラス製キャセロールにおすすめの使い方
ガラスは電子レンジで使える数少ない素材。
電子レンジを使うと手軽に調理できるだけでなく、栄養も逃げにくいです。
また、中身が見えるという特徴を生かし、断面をあえて見せたいときにもおすすめ。
食材を重ねてミルフィーユ状にしたり、層がきれいな料理を作ったりするとき、ガラスのキャセロールが役立ちます。
- おすすめの使い方…電子レンジでの調理、保存容器
- おすすめの料理…中身をあえて見せたい料理(ガトーインビジブルなど)
耐熱磁器製キャセロールにおすすめの使い方
保温性に優れているので、熱々の状態をキープしたい料理に向いています。
IH以外のほとんどの熱源が使えるので、直火でアヒージョやチーズフォンデュを楽しんだり、オーブンでグラタンを作ったりと、さまざまなレシピが楽しめます。
- おすすめの使い方…直火やオーブンでの料理
- おすすめの料理…アヒージョ、チーズフォンデュ、グラタンなど
ホーロー製キャセロールにおすすめの使い方
熱伝導がよく、煮たり焼いたり幅広い料理に活躍します。
ご飯を炊いてもふっくら仕上がるので、炊き込みご飯やパエリアなどもおすすめ。
オーブンで定番のグラタンやポテト料理を作って、食卓にそのまま出せばごちそうに早変わりします。
- おすすめの使い方…直火やオーブンでの料理
- おすすめの料理…煮込み料理、焼き料理
鋳物キャセロールにおすすめの使い方
鋳物は熱に強く、直火での調理に適しているので、アウトドアでも使えますよ。
熱伝導がよく、保温性も優れているので、じっくりと煮込む料理にピッタリ。
- おすすめの使い方…直火での調理、アウトドアでの調理
- おすすめの料理…煮込み料理(ビーフシチュー、おでんなど)
セラミック製キャセロールにおすすめの使い方
セラミックは熱伝導がよく、さらに遠赤外線効果があることから、肉がおいしく焼けます。
直火やオーブンでじっくり熱を通し、おいしい肉料理を作ってみましょう。
- おすすめの使い方…直火やIHでの調理
- おすすめの料理…肉料理(ステーキ、ローストチキン、ローストポークなど)
キャセロールを使ったおすすめ和食レシピ
こちらではキャセロールを使った和食や作り方をご紹介します。
キャセロールはアメリカなど外国の一般家庭でよく使われますが、実は日本の家庭料理を作る時にも活躍しますよ。
おでん
キャセロールは保温性がよく、土鍋よりも軽いのでとても扱いやすいです。
おでんなどじっくり煮込む料理にピッタリ。
今回は、子どもが食べやすいよう、一部のおでんの具を一口大に切って串にさしました。
- ☆水…1500ml
- ☆白だし…120ml
- ☆みりん…50ml
- ☆酒…50ml
- 具はお好みで(大根、卵、こんにゃく、練り物など)
今回串に刺したものは、大根、こんにゃく、うずら卵、ウインナー、ブロッコリー、プチトマト、練り物です。
キャセロールおでんの作り方
- 大根は皮を厚めにむいて下ゆでをしておく。卵はゆでて殻をむく。
- 大きめのキャセロールに☆の調味料を入れて、火にかける。
- 大根、こんにゃく、卵、厚揚げなどを入れ、沸騰したら弱火にし、20分程度煮る。
- 練り物を入れてさらに10分程度煮る。
手羽元と季節野菜のグリル
前もって手羽元をタレに漬けこんでおけば、あとは好みの野菜とあわせてキャセロールに入れ、オーブンでグリルするだけ。
季節の野菜や、あまった野菜を使いきりたいときにもピッタリです。
焦げが気になる場合はアルミホイルをかぶせてくださいね。
- 手羽元…10~12本
- ☆しょうゆ…大さじ2
- ☆酒…大さじ2
- ☆はちみつ…大さじ1
- ☆みりん…大さじ1
- ☆にんにく(チューブ)…1cm
- れんこん…3cm
- パプリカ…1/2個
- なす…1/2本
- かぼちゃ…80g
- さつまいも…中1/3本
下準備として、オーブンを250度に余熱しておきましょう。
手羽元と季節野菜のグリルの作り方
- ポリ袋に☆の調味料を入れ、その中に手羽元を入れてよくもみこむ。1時間以上冷蔵庫で寝かせる。
- れんこんは5mm程度の半月切り、パプリカとなすは乱切り、かぼちゃとさつまいもは1cm程度の角切りにする(なすとさつまいもはあく抜きをする)。
- オーブン対応のキャセロールに2の野菜を火が通りにくいものを下にして入れる。その上に1の手羽元を乗せる(つけ汁を入れてもOK)。
- オーブンにキャセロールを入れ、20~30分焼く。
下ごしらえの時間がないときは、フォークで手羽元をさして、味をしみこみやすくするといいですよ。
オーブンに入れて焼く時はフタは外してくださいね。
今回ご紹介したのは2種類ですが、キャセロールは他にも様々な料理に活用することができます。
特に汎用性が高い耐熱ガラスのキャセロールの活用例はこちらの記事でご紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。
耐熱ガラス製キャセロールの使い方・レシピはこちら

続いて、おすすめのキャセロールをいくつかご紹介します。
おすすめのキャセロール6選
こちらでは、お料理する上で使い勝手の良いおすすめのキャセロールをご紹介します。
キャセロールに興味がわいてきた方は、ぜひチェックしてくださいね。
料理のプロも愛用する鋳物ホーロー鍋「ストウブ」

伝統ある鮮やかなビタミンカラー「ル・クルーゼ」

ざるとすのこが付属したキャセロール

そのまま食卓に出しても見栄えがする見た目なのもポイントです。
初心者におすすめなキャセロール

何と言っても見た目がかわいいので、ホームパーティーに出せば褒められること間違いなしですよ。
ムーミン柄のおしゃれデザインキャセロール

同じ柄のケトルやミルクパンなどもあり、セットで揃えることもできます。
レンジでも使える鋳物風のキャセロール

まとめ
キャセロールは、マルチな使い方ができる便利な調理アイテム。
素材にもよりますが、煮る、焼く、蒸す、ゆでる、揚げるなど、キャセロールひとつでいろいろなことができます。
用途によって鍋を分けている方が多いですが、キャセロールを導入すればこれひとつで済む場合が多く、たくさんのお鍋を持たなくて済むので省スペースにも。
ぜひ一度使って、その便利さを実感してみてくださいね。