手軽なランチにも便利なパスタですが、いろいろな時短テクニックや美味しく茹でるためのコツがあります。
パスタ鍋(パスタポット)などパスタ専用の鍋で茹でる以外にも、電子レンジでレンチンしたり、フライパンで茹でたりする方法も。
この記事では、パスタを茹でるアイテム別に味の違いや時短方法、それぞれのメリットなどを比較してみました。
目次
パスタを茹でる時に抑えておきたいポイント
まず、パスタを茹でる時に抑えておいていただきたいポイントからご紹介します。
パスタを茹でるときの最適な塩の量は?
塩の量は多いほど麺のコシが強くなると言われていますが、塩辛くなってしまわないために家庭ではお湯の量に対して1%が適量です。
塩を入れて茹でることでパスタ自体に味がつき、ソースと馴染みやすくなります。
塩分とデンプンを含んだ茹で汁をパスタソース作りに使えば、しっかりと乳化した絡みやすいパスタソースになり塩分の調整もできます。
ただし、市販のパスタソースは濃い目の味付けが多いため、塩味のついたパスタではしょっぱく感じることも。
好みや材料に合わせて塩の量を減らしても良いでしょう。
パスタを折って茹でるのは邪道?!
パスタを半分に折って茹でれば、小さい鍋にも入りますよね。
それで日本ではパスタを折るレシピも比較的よく見かけるのですが、これに抵抗がある人は意外と多いよう。
パスタの本場イタリアでは、パスタを折るのはもっぱら子供用に茹でるときだそうです。
フォークをうまくつかえない小さな子どもでも少しずつすくえるように、短くして茹でてあげるそう。
だから、大人が折ったパスタを食べるのは考えられないようですね。
確かに、大人用フォークでは短いパスタはうまく巻けません。
ソースが跳ねやすくなって食べにくいと感じることもあるのではないでしょうか。
そこで、短く折って茹でたパスタは和風の味付けにして箸で食べるのがおすすめ!
写真はゆかりとしらすの和風パスタです。
ちなみに、パスタを折って茹でても茹で時間は変わりません。
時短になると言われることがあるのは、小さい鍋でも茹でることが可能になり、お湯が沸くまでの時間短縮ができるからでしょう。
パスタを茹でるときに使う調理器具はどうやって選ぶ?
パスタを茹でるのに使える調理器具には、主に以下のようなものがあります。
ここからは上記のアイテムを使ってパスタを茹でたときの違いやメリットなどをご紹介していきます。
使用したパスタはこちら
今回はパスタの茹で上がりを比較するため、どの作り方の時も同じパスタを使いました。
太さ1.7㎜で茹で時間9分のもの、近所のスーパーのPB商品のパスタです。
【パスタ鍋】味重視・大人数ならパスタポットで
パスタを茹でるための大きな鍋が「パスタ鍋(パスタポット)」。
しかし、たっぷりの水を使うのがもったいない、沸くまでには時間がかかるなどの理由でパスタポットを使っていない人も多いのではないでしょうか。
パスタ鍋で茹でるとどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
パスタ鍋で茹でるとどんなメリットがある?
パスタ専用の鍋で茹でることのメリットは、なんといってもたっぷりのお湯が鍋の中で対流することによる失敗のない仕上がりにあります。
お湯が対流すると…
- 麺が固まりにならず、ムラなく水分・塩分が浸透する
- パスタの表面にデンプンのコーティングができ、プリプリの食感になる
- 均一に火が通るため、「部分的に固い」「コシがない」などのトラブルがない
いずれも味わいや食感に直結するメリットですね。
特に3人分以上のパスタを茹でる際には、パスタポット以外の選択肢はないと言っていいでしょう。
パスタ鍋はコンパクトな大容量鍋として使い回せる
パスタ鍋は大容量でありながら直径が小さめに設計されていて、コンロの上でもコンパクトに収まります。
いわゆる「寸胴鍋」の形ですので、カレーやシチューなど多めに作るときにも便利。
また、長い葉物野菜やとうもろこしなどを茹でるのにも使えます。
商品によっては「蒸しす」がついていて蒸し器として使えるものも。
家族が多い場合やまとめて作る機会が多いご家庭なら、「使い回せる大容量の鍋」として普段からもパスタ鍋が活躍するはず。
新たに購入を検討してもいいかもしれませんね。
パスタを茹でた後のお湯は食器洗いに再利用!
パスタ鍋で茹でるとき、大量のお湯をそのまま捨てるのがもったいないと感じる場合は、食後の洗い物に使うためにとっておくのがおすすめ!
デンプンを含んだパスタの茹で汁は、油っぽいパスタソース汚れもさっぱりと落としてくれます。
茹で汁で汚れをゆすいでから、洗剤洗いすれば完璧です。
パスタ鍋でパスタを茹でる時のコツ
パスタ鍋を使ってパスタを茹でる場合の、基本の茹で方は以下のとおりです。
茹でる時に気を付けるべきポイントが3つあるので、詳しく解説します。
茹でる時のコツ【1】混ぜすぎ厳禁
パスタのまわりの糊化したデンプンが剥がれて食感が悪くならないよう、何度も混ぜてはいけません。
お湯に入れてパスタが柔らかくなった直後にバラけさせるために混ぜる1回と、お湯が白く濁ってデンプンが溶け出してきたときにくっつかないために混ぜる1回の合計2回程度で十分。
たっぷりのお湯で茹でているときはこれだけできちんとバラけてくれます。
茹でる時のコツ【2】温度が下がらないように
お湯は沸いた状態をキープし、しっかり対流するようにします。
このお湯の対流が、ムラなく茹で上がるポイントだからです。
温度が低いと表面だけ柔らかい触感になってしまいます。
茹でる時のコツ【3】茹で時間をきちんと計る
麺の太さにより最適な茹で時間は変わります。
パスタのパッケージに記載の規定時間を守って茹でましょう。
芯を残したアルデンテに仕上げるなら、規定時間の1分ほど早めにお湯から上げます。
その後、フライパンで加熱しながらソースを絡める場合は、その時間も差し引いてください。

「ワンダーシェフ」のパスタポットの特徴
この記事で使用している、ワンダーシェフのパスタポットには面白い特徴があるのでいくつかご紹介します。
まず、形は典型的な寸胴型で、直径20cmとコンパクトながら5.3L入る大容量です。
中の様子が見えやすいガラス蓋が付いており、蓋の真ん中の取っ手には味見用のスプーンや箸が載せられるくぼみがあります。
さらに「蒸しす」がついているので、蒸し鍋として活用することも可能です。
そして一番の特徴がこの部分。
蓋の縁に穴が空いていて、鍋の注ぎ口から蓋を閉めたまま鍋ごとお湯切りができるのです。
一般的なパスタポットはパスタのお湯切りをするためのバスケットがついているのですが、これはメリットばかりではありません。
ざっと引き上げられるのが便利な半面、バスケットの網目からお湯が跳ねるとか、網目が大きいタイプは穴から細い麺が出てしまうとか、使用後のバスケットのぬめりを流すのがちょっと大変、という声が多いのも事実。
このワンダーシェフのパスタポットはそんなストレスがない作りとなっています。
ただし、バスケットで一度にお湯から上げるのとは違って、お湯切りに少々時間がかかります。
お湯の大半は蓋を開けた状態で流してしまい、麺が流れ出てしまいそうな段階で蓋を閉めて、完全にお湯を切る、という使い方がおすすめですよ。
【電子レンジ専用容器】少量しか茹でないならレンチンで
パスタを1人分しか作らないときは、わざわざパスタポットを使いたくないと思うかもしれません。
確かに自分だけのお昼ごはん用なら、パパッと時短でできるやり方のほうが便利。
ここからは、電子レンジ専用のパスタ調理ケースを使ったパスタの茹で方をご紹介します。
さらに、代用できる調理器具を使って1人分のパスタ(100g)を仕上げる方法や、裏技的アイデアを見ていきましょう。
電子レンジ専用容器で茹でるメリット・デメリット
電子レンジでパスタを茹でるための電子レンジ調理器具があります。
今回は700円前後で購入できるスケーターの容器(写真下)と100均の容器(写真上)を使ってみました。
まず、電子レンジ専用容器でパスタを茹でるメリットですが、
- パスタのそのままの長さで茹でられる
- 水の量が少なくて済む
- 火を使わなくて良い
- 電子レンジにいれたら放置で良い
電子レンジでパスタを茹でるための専用容器を使うと、パスタが長いまま茹でられるのが大きなメリットです。水切りが容器1つでできるのも便利。
一方で、下記のようなデメリットもあります。
- ゆで時間が長い(13分前後)
- 麺がくっついて固まることがある
- 電子レンジにより加熱時間の微調整が必要
実は、お湯で茹でるより意外と時間がかかるのです。
また、電子レンジの庫内の大きさによって入らない、またはターンテーブルが回らないことがあります。
ターンテーブルが回らなくても加熱はできますが、ムラになる可能性があるので途中で向きを入れ替えるなどの一手間が必要。
パスタのコシはあまり期待できないものの、1人分を調理するときの手軽さをとるならおすすめです。
では、電子レンジ専用容器でパスタを茹でる方法を見ていきましょう。
電子レンジ専用容器でパスタを茹でる方法
容器によって指定の水の量、加熱時間は多少差がありますが、基本的にはパスタの規定の茹で時間に4分程度をプラスして電子レンジにかけます。
この時、吹きこぼれるので加熱時に蓋はしません。
加熱時間はケースに書いてありますが、電子レンジのクセによっても多少の違いがあります。
そのため初めて作るときは、途中で出してみて好みの茹で具合かどうかチェックする必要があります。
硬ければさらに30秒ずつ追加で加熱して様子を見てください。
好みの硬さに茹で上がったら、容器の湯切り穴を使ってしっかりお湯を切ります。
あとは好きなソースを絡めてできあがりです。
9分茹でのパスタなら合計13分~の加熱時間になるので意外と時間が必要ですが、放ったらかしでできるのは嬉しいですよね。
100均の容器との違いはある?
100円の容器も機能的には十分ですが、プラスチックの厚みが薄い、蓋がしっかり閉まらない、などのデメリットがあります。
水切りのための穴が小さいため、容器ごと振るようにしてしっかり湯切りしないとお湯が残ってしまいがち。
蓋がゆるいので、蓋が外れないようにしっかり持って湯切りする必要があります。
容量にも違いがあります。100円容器では1.5人分(パスタ150g)までですが、今回使用したスケーターの容器は2人分(パスタ200g)まで茹でられます。
調理できる容量は商品ごとに異なるので購入の際にはよくチェックしてください。
スケーターの容器は硬めの樹脂製で、しっかり蓋が閉まるのも安心ポイントです。

「ルクエ」のスチームケースで水切り不要の電子レンジパスタ
電子レンジを使って、水切りの必要がないよう水分量を減らして味付けも同時に行うという調理法があります。
電子レンジ調理には定評のあるルクエのスチームケースを使って試してみました。
ルクエのスチームケースを使ったパスタの作り方手順
- ルクエのスチームケースにソースとなる材料と水100mlを入れ、混ぜ合わせます。
- そこに半分に折った100gのパスタを加えて軽く混ぜてから、オリーブオイルを回しかけます。
- 蓋を閉めて電子レンジでパスタに規定の茹で時間分加熱します。
- 一度取り出し、全体をよく混ぜます。
- 蓋の片方だけを閉め、再度電子レンジに入れて3分から4分加熱し、水分を飛ばして仕上げます。
ルクエの公式サイトで紹介されているレシピに掲載の方法です。
参考 スチームケース + トレイ ミートソーススパゲティ(1人分)Lékué
ルクエのスチームケースでパスタを調理するポイント
この作り方だと、パスタの食感はやはり弾力が足りず、主食にするには物足りません。
でも味付けも具も一緒にできあがるので、付け合わせやお弁当の一品用に作るのならとても手軽な方法でしょう。
ルクエのスチームケースでパスタを調理するメリットとしては、
- 具とソースの調理も同時にできる
- 蒸し効率の良い容器のため、水分量は少なくて良い
- 長いパスタは折らないと入らない
- 麺の一部がくっついて仕上がってしまう
パスタを折らないと入らないのはネックですが、いっそパスタを2つ折りではなくもっと小さく折って作ると混ぜやすいですし、「おかず感」が出ていいかもしれません。
ルクエを持っている方なら試してみると面白いと思います。
【耐熱皿・耐熱容器】電子レンジ専用容器の代用品
電子レンジでパスタを調理するとき、専用の容器がなくても、深さがあるもので代用ができます。
例えば、上の写真のような耐熱ガラス製のボウルやケーキ型、深めの耐熱皿などです。
耐熱皿や耐熱容器でパスタを茹でる方法
耐熱皿や耐熱容器などの代用容器でパスタを茹でるだけならラップはいりません。
まず、パスタが隠れるくらいの水を入れ、電子レンジ専用容器と同じく、パスタの茹で時間+4分を目安に電子レンジで加熱します。
また、湯切りには別途ザルを用意しなくてはなりません。容器を電子レンジから取り出すときは熱くなっているのでやけどに注意します。
水切り不要に仕上げるパスタの作り方
深めの耐熱容器を使って水切り不要に仕上げるには、水の量を減らします。
パスタ100gに対し、水の量は250mlにします。
この水の半分を牛乳に変えたり、塩コショウ、コンソメなどを入れて味付けしてから加熱することで、そのまま食べられます。
火の通りやすい食材なら具として一緒に加えても大丈夫。
加熱時間は他と同じくパスタの茹で時間+4分を目安にしますが、好みで調節してください。
【フライパン】お手軽「ワンパンパスタ」
パスタ鍋などの深い鍋ではなく、フライパンなど浅い鍋を使ってパスタを調理する方法があります。
フライパンは直径28cm以上あれば、長いパスタも折らずに入ります。
少しはみ出るくらいであれば、茹でながら柔らかくなったところで押し付けるようにしてお湯に沈めてしまえば大丈夫。
フライパンでパスタを茹でるメリット・デメリット
フライパンでパスタを茹でるときのメリットは3点。
- 水の量が少なくて良い
- 底が広いためお湯が早く沸く
- 2人分程度まで茹でられる
- 水の量が少ないため、ダマになりやすい
- 頻繁にかき混ぜる必要があるため、麺のコシがなくなる
- お湯の温度が下がりやすい
お湯の温度が下がってきたときは熱湯を足せばOK。
1つのフライパンでそのまま仕上げてしまう「ワンパンパスタ」も人気がありますね。
ワンパンパスタの場合は少なめの水で茹でながら味をつけます。
作り方を見ていきましょう。
フライパンだけで作る「ワンパンパスタ」の作り方
- パスタ100gに対し400mlの水を沸騰させ、パスタを入れます。
- 具材を入れ、一緒に加熱します。
- パスタの規定の茹で時間を目安に加熱します。
- 最後は水気を残してスープパスタのように仕上げるか、水気を飛ばして炒めるように仕上げます。
ワンパンパスタの場合はパスタの規定の茹で時間を目安に加熱しますが、途中で味見して食感を確かめ、固いようなら水分を足してさらに加熱する必要があります。
「ひと鍋でできるので洗い物が少ない」というメリットがある反面、ちょうどよい硬さに仕上げるのには水分、火加減の微調整が必要なのと、食感がモサモサになりがちというデメリットも。
時と場合によって使い分けてください。
炒め鍋や中華鍋でもワンパンパスタが作れる!
フライパン以外にも、口の広い炒め鍋や中華鍋も活用できます。
今回は中華鍋を使って鮭とキャベツのクリームパスタを作ってみました。
食感を良くするために水気を残して仕上げています。
【圧力鍋】もっちもち食感のパスタを味わおう
パスタを圧力鍋で茹でると、もちもちした食感に変わります。
「生パスタ」の食感と似ていると言われることもあるほど、弾力が生まれます。
特に炒めて作るナポリタンにぴったり。
圧力鍋で茹でるメリット・デメリット
圧力鍋でパスタを茹でるメリットは食感がもちもちになるからだけではありません。
電子レンジ専用容器や耐熱容器で茹でる時、加熱時間は「パスタの茹で時間+4分程度」かかりますが、圧力鍋を使うと茹で時間が半分になるのが大きなメリット。
ただし、
- 圧力鍋がないとできない
- 圧力鍋の機種により加圧時間の調整が必要
- もちもち食感が強すぎるため、好みが分かれるかも
圧力鍋をお持ちの方は、ぜひ自分の口に合う食感か試してみてください。
圧力鍋でパスタを茹でる方法
146kpaの「活力鍋」を使う場合のパスタの茹で方をご紹介します。
- 沸騰したお湯にパスタを入れ、ほぐれたら蓋をして圧力をかけます。
- 蓋をしてからパスタの茹で時間の半分にタイマーをセット。
- その間におもりが揺れたら1分加圧して火を消します。
- タイマーが鳴ったら、蓋に水をかけて急冷し、圧力を抜いて蓋を開けます。
- 湯切りをして茹で上がりです。
パスタを茹でるアイテム比較まとめ
基本のパスタ鍋を使った茹で方から、その他のいろいろな調理器具を使ったパスタの茹で方を見てきました。
「美味しさ」と「手軽さ」、「時短」のどれを重視するかでお気に入りの茹で方は変わるでしょう。
今回ご紹介したパスタを茹でる5つのアイテムを総合的に整理すると以下のようになります。
→ パスタ鍋
→ 電子レンジ専用容器
→ 耐熱皿・耐熱容器
→ フライパンでワンパンパスタ
→ 圧力鍋
お好みのパスタの茹で方は見つかったでしょうか。
ぜひ状況に合わせて道具やテクニックを使い分けしてみてくださいね。


