揚げたての天ぷらやカツは美味しいですが、家庭用の天ぷら鍋(揚げ鍋)はどんな点に注意して選べばよいのでしょうか。
天ぷら専用の鍋がなくても、中華鍋やフライパンで代用できれば便利ですよね。
実は、天ぷら鍋を使っても、他の鍋やフライパンで代用してもそれぞれにメリットとデメリットがあります。
私は家庭では天ぷら鍋と中華鍋、フライパンを使い分けて揚げ物をしています。
この記事では、家庭用揚げ鍋の選び方のポイントと、中華鍋やフライパンなどを使って揚げ物をするときのコツについてご紹介します。
家庭で揚げ物をするときのポイントやコツを知って、揚げ物料理作りを安全に楽しみましょう。
目次
お店の揚げ物の味を再現するなら「天ぷら鍋」
料理店で食べる揚げ物が美味しいのはどうしてでしょうか。
それは、大きなフライヤーや鍋を使って大量の油を使い、食材に最適の温度で揚げるからです。
表面はさっくり、中はふんわりと食材の味を引き出す料理店の揚げ物のような仕上がりが、家庭でも再現出来たらいいですよね。
家庭用の天ぷら鍋(揚げ鍋)選びのポイント
天ぷら鍋(揚げ鍋)は大きければ大きいほど、使う油の量が多くなるのでうまく揚げられます。
しかし、家庭の場合は料理店のように大きな鍋を収納する場所を確保するのが難しく、大量の油を使うのも経済的ではありません。
また、後片付けが楽にできるかどうかもポイントです。
おいしく揚がるかは、もちろん揚げ方にもコツはありますが、「油の温度をキープできる素材の鍋」を選ぶ必要があります。
天ぷら鍋選びのポイントが分かったところで、それぞれの項目について細かく見ていきましょう。
天ぷら鍋のおすすめのサイズと形状
一般的な天ぷら鍋は、底が広く平らで、両側に小さめの取っ手が付いた形が多いです。
これは、調理中や片付けの際にひっくり返したり引っかけたりというトラブルを防ぐのに適した安定した形だからです。
使いやすい天ぷら鍋のサイズ
3、4人家族までなら、鍋の直径が22cm前後が使いやすいサイズです。
鍋の深さは13cm~15cm程度あると、油の量の調節がしやすく油はねを抑えられます。
鍋の直径が20cm以下の小さいものは、お弁当用などほんの数個揚げたいときなどに重宝します。
写真に写っている我が家のステンレス揚げ鍋は、直径21.5cmです。
3人家族なので十分間に合っていますが、一度にたくさん揚げたいときは数回に分けなくてはならないのがちょっと不便に感じることも。それでも、さっと取り出して使いやすいサイズが気に入っています。
鍋の取っ手や注ぎ口など、形状にも注目
注ぎ口があるタイプの天ぷら鍋(揚げ鍋)は、油を片付ける際にとても役立つのでぜひ欲しいですね。
他にも、油の量が分かるメモリが内部にあると油を使いすぎることがないので便利です。
天ぷら鍋の取っ手の種類
天ぷら鍋の取っ手には「片手タイプ」と「両手タイプ」があり、「片手タイプ」は「両手タイプ」に比べて省スペースで収納できます。
取っ手が1つしかない分、「両手タイプ」より運びにくいのがデメリット。その代わり、狭いシンクでも洗いやすいというメリットもあります。
一方で「両手タイプ」は洗いにくさを感じるかもしれませんが、サイズが大きめで重い天ぷら鍋を選ぶなら、洗いやすさより運びやすさを考慮した方が良い場合もあります。
揚げ終わった天ぷら鍋は油が入ったまま持ち上げるので、かなりの重量になります。鍋自体が大きければそれだけでもかなり重く感じますよね。
取っ手が大きければ、天ぷら鍋の移動もスムーズにできます。
いろんなサイズや形状の天ぷら鍋(揚げ鍋)があるので、どんな使い方をしたいのかを意識して選ぶと良いでしょう。
天ぷら鍋の素材別メリット・デメリット
天ぷら鍋にはいろいろな素材があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
揚げ物は『温度を一定に保つこと』が重要なので、保温性が高い材質で、できるだけ厚みのある鍋が適しています。
材質による重さや洗いやすさとの兼ね合いも考えたいところ。
自宅のコンロがIHの場合は、鍋がIHの熱源に対応しているかどうかも必ずチェックする必要があります。
それでは、それぞれの素材のメリットとデメリットを見ていきましょう。
ステンレス製天ぷら鍋のメリット
- 鉄と比べて錆びにくいため、お手入れが楽
- 他の素材に比べると熱伝導がよくないものがある
ステンレス製の中でも、熱伝導・保温性を考えた多層構造のものがおすすめです。
鉄製天ぷら鍋のメリット
- 保温性が高く、油の温度が下がりにくい
- 鍋に油がなじむと油膜でコーティングされ錆びにくくなる
- かなり重たいので扱いにくい
鋳物(鋳鉄)天ぷら鍋のメリットとデメリット
- 厚手なので温度変化が少なく、保温性は抜群
- 鉄製と同じくかなり重たい
- 未塗装のタイプは錆びやすい
ダッチオーブンなどの未塗装のタイプは錆びやすいですが、表面にホーロー加工されたものなら洗剤で洗いやすくなります。
ホーロー製天ぷら鍋のメリットとデメリット
- 汚れが落としやすくお手入れが楽
- カラフルで可愛らしいデザインのものがある
- 欠けや傷がつくと錆びやすくなる
ただし、欠けや傷がつくとそこから錆が生じますので取り扱いには注意が必要です。
下地の金属の種類によって重さは異なります。鋳物にホーローをかけたもの、鉄やアルミにかけたものなどがあります。
アルミ製天ぷら鍋のメリットとデメリット
- 非常に軽い
- 錆びにくい
- 保温性が低い
軽いので扱いやすく、錆びにくいのでお手入れも楽。
熱伝導率もよくすぐ温まりますが、他の素材に比べると保温性が低いのがデメリット。
朝のお弁当用作りなど急ぐとき、少量用にはおすすめです。
銅製天ぷら鍋のメリットとデメリット
- 熱伝導率が良い
- 保温力が高い
- 他の素材に比べ錆びやすい
- 価格が高い
温度の上下が少ないので次々に食材を揚げてもムラなく仕上がります。
手入れを怠ると黒ずみや錆が出ること、高価なことがデメリットとして挙げられます。
天ぷら鍋は保温性だけで選ぶのではなく、重さやお手入れのしやすさを意識して自分にピッタリの素材を選ぶのが重要です。
天ぷら鍋にあると便利な付属品
天ぷら鍋(揚げ鍋)には、様々な機能の付属品が付いたものがあります。
温度計や、網、油はねガードなど便利なものが多いですが、付属品が多いとその分お手入れの手間が増えることにもなりますので、本当に必要なものを選びたいですね。
油をすぐに切ることができる網付き天ぷら鍋
鍋の縁に網がついているものは、揚げてすぐ食材の油を軽く切ることができます。
ただし、そのまま置いておくと蒸気を吸って衣がべたっとなってしまいます。
キッチンペーパーを敷いた皿などで代用できますので、あえてついていなくても良いでしょう。
油はねから手や服を守る!油はねガード付き天ぷら鍋
縁にぐるっとガードがついているものは油が跳ねにくいので、コンロ周りを油でべたべたにしたくない人にはおすすめです。
ただし、洗う際に外したりつけたりしなくてはならず次第に面倒になる人も多いようです。
調理に慣れている人には不要かもしれません。
適温で揚げ物ができる温度計付き天ぷら鍋
温度計が鍋の縁に付いているタイプもあります。
温度計は油が適温になってから食材を入れるのに役立つので、あると便利な付属品です。
しかし、温度計自体は丸洗いできず、鍋を洗うときには取り外す必要があるものがほとんどです。
揚げ物用の温度計は、220度以上まで温度を計ることができて便利ですが、こういった温度計自体は単体で販売されていますので、必要に応じて別途購入する方法もあります。
揚げ鍋専用の温度計はなくても良いと感じる場合もあると思います。
天ぷら鍋って本当に必要?天ぷら鍋で作れるおすすめ料理
天ぷらや揚げ物専用の鍋って、本当に必要なのでしょうか。
キッチンが汚れるので家では揚げ物をしないと決めている人もいますね。年に数回しか揚げ物を作らないとしたら、確かに専用の揚げ鍋は必要がないかもしれません。
また、作りたいメニューによってはフライパンや他の鍋で代用することも可能になります。
天ぷら鍋を購入するかどうかは、使用頻度や作りたい料理の好みに合わせて考えましょう。
厚みのある食材を揚げる場合や、大きくふわっと仕上げたい料理の場合は、やはり深さのある揚げ鍋が必要です。
何といっても、たっぷりの油で調理することで温度が安定し、ムラなく早く仕上がります。
油の使いまわしを上手にすれば、天ぷら油も無駄にはなりません。
油をきれいに保存して活用する方法についてはこちらの記事をご覧ください。
油は何回使える?―揚げ物油の酸化を防ぐ上手な保存・再利用方法と正しい捨て方―
【天ぷら鍋代用法】中華鍋で揚げ物をするコツ
鉄製の中華鍋を揚げ物用に使う人も多いですね。
中華鍋は炒め鍋・天ぷら鍋(揚げ鍋)兼用で活用できますので、私もよく使っています。
ただし、鍋の形の関係上、場所により油の温度が違うので、ムラなく加熱するにはかき混ぜながら使う必要があります。
そのため、中華鍋で揚げ物をする際は、調理途中に数回、揚げ網などで大きく混ぜるようにします。
さらに、中華鍋はどちらかというと火力の強いガスコンロ向きの鍋と言えます。
我が家では、コンロがガスコンロだったときはもっぱら中華鍋で揚げ物をしていましたが、IHコンロになってからは天ぷら鍋と使い分けするようになりました。
- 口径が広く、一度にたくさん揚げられる
- 油は少なめでOK
- 食材を入れる時の油はねが少ない
中華鍋は底に向かって小さくなる形なので、同じ直径の鍋より油は少なくても問題ありません。
また、鍋肌の傾斜を利用して滑らすように食材を入れられるため、食材を入れた瞬間の油はねが少なくて済みます。
- IHコンロでは多少効率が落ちる
- 油の温度ムラがおこる
中華鍋は底面が狭いので、IHコンロでは多少効率が落ちる他、そもそもIHコンロに対応できないものもあります。
また、先ほどご紹介したように。温度のムラをなくするためにはかき混ぜながら使う必要があります。
中華鍋をよく使うという方で、たまに揚げ物がしたいという場合は、中華鍋で代用することも検討してみてください。
【天ぷら鍋代用法】フライパンで揚げ物をするコツ
フライパンで揚げ物をするほうが気軽にできると感じる人も多いですね。
フライパンなら少ない油で調理できることが魅力的ですが、他のメリット・デメリットは何か考えてみましょう。
- 油は少量でいいので経済的・片付けも楽
- 「揚げ焼き」になるのでカリっと仕上がる
- 厚みのある食材は火が通りにくい
- 油の温度変化が激しいため焦げたり色むらができやすい
- 浅いフライパンだと周囲への油はねが増える
揚げ物に適したフライパン選びのポイント
フライパンで揚げ物をするときにはいくつかのコツがありますが、まず最初に考えるべきなのは、揚げ物に適したフライパンを選ぶことです。
揚げ物に適したフライパン選びで最も注意したいことは、フライパンの素材です。
ふっ素樹脂コーティングなど、食材がくっつかないための樹脂加工がされている場合、220度以上の高温になる油を使うと変質することがあります。
見た目は変わらなくても、劣化が早まる可能性がありますので材質をよく確認してください。
一方、鉄製のフライパンなら油でフライパンが劣化することもなく安心です。
鋳物のスキレットなども保温性に優れているのでおすすめ。
また、深さのある「炒め鍋」型のフライパンなら、揚げ物にもぴったりです。
これは鋳物のフライパン(スキレット)でチキンカツを揚げているところです。
数回ひっくり返しながら揚げると、厚さ3cmから4㎝のチキンカツもしっかり揚げられます。
加熱すると油は少しかさが増えますし、食材を入れると油があふれたり激しく飛び散るため、ガスコンロでは引火の危険も発生するので注意してください。

フライパンで揚げ物をする時のポイント
また、揚げ物の調理中にもコツがあります。
少ない油で調理している時は、食材を入れると油の温度が急激に下がります。
これが、焦げや衣の剥がれの原因になってしまいます。
そこで、食材を入れる前に一度強火にして油をやや高温にしておき、食材を入れた時にちょうど良い温度に下がるイメージで調整してみてください。
また、フライパンは油はねをガードできる深さがないため、周囲に油が飛び散りやすいのも困りもの。
油はね対策には、フライパンのフタや市販されている網などを利用します。
調理中もこまめにコンロの周りをキッチンペーパーなどで拭くと油汚れがこびりつくのを防ぐことができます。

さらにおさえてほしいポイントは、「たくさん詰めて一気に揚げる」ということ。
フライパンで揚げ物をするときは、たくさん詰めて並べると油が回りやすく、少しの油でもしっかり揚げることができます。
これは普通の揚げ鍋で調理するときとは逆の発想ですね。

鶏のから揚げなどもこの方法でひっくり返しながら揚げると、きれいにこんがりと出来上がります。
フライパンで揚げ物!おいしい『揚げ焼き』料理
フライパンでは通常の天ぷらや厚みのある揚げ物は難しいですが、「揚げ焼き」は大得意。
フライパンで作るからこそおいしい揚げ物料理もたくさんあります。
私は、チキンカツや一口カツはフライパンで揚げることの方が多いです。
他にサクラエビやしらすなど小さな食材のかき揚げもフライパンの浅さを生かしてきれいに揚げることができますよ。
固まっている部分がないようにすると全体がサクッと仕上がります。
フライパン揚げ物料理のおすすめ「ミラノ風カツレツ」
「ミラノ風カツレツ」は、薄くたたいた肉をチーズやハーブ入りの衣でカリっと揚げ焼きにする料理です。
元々は牛肉で作りますが、豚肉でもOK。我が家ではよく豚ヒレ肉を使ったミラノ風カツレツを作ります。
カツレツにすることでパサつきがちなヒレ肉が食べやすくなり、衣自体も美味しいのでビールにもワインにも合うおつまみとしても好評。
作り方をご紹介します。
ミラノ風カツレツの作り方
- 豚ヒレ肉は厚さ2cmから3cmにカットし、麺棒などで優しくたたいて8ミリくらいの薄さにする
- 通常のフライと同じく、肉に塩コショウし、小麦粉をまぶしてから溶き卵にくぐらせてからパン粉を付ける
- フライパンにオリーブオイルを深さ1cmほど入れて揚げ焼きにしたらできあがり

このとき、私はクッキングシートに肉を挟んでたたきます。ラップと違ってくっつかないので作業がはかどります。もちろんまな板も麺棒も汚れません。
ミラノ風カツレツではこのパン粉に一工夫。
パン粉は手や麺棒ですりつぶすようにして細かくしておきます。
ここに粉チーズとドライハーブを加えます。ハーブはパセリやオレガノがおすすめ。
ガーリックパウダーやバジル、ローズマリーなど数種類入れて「香草パン粉」にしてもいいですね。
キャノーラ油で焼いてから、仕上がる直前にバターを少々足して風味付けしても美味しくできます。
ソースはトマト系がよく合います。ピザソースやケチャップでも。
【天ぷら鍋代用法】忙しい朝は『卵焼き器』で揚げ物
朝食とお弁当のおかずを同時に作りたいときには、卵焼き器で揚げ物もしてしまいましょう。
コツはフライパンと同じですが、小さな卵焼き器はひっくり返さないようバランスに注意が必要です。
↓
↓
片付けるお皿なども少なくて済むので、ぜひ試してみてくださいね。
おわりに
我が家ではステンレスの天ぷら鍋と、鉄製の中華鍋、鋳物のフライパン(スキレット)を使い分けていますが、やはり揚げ鍋としては専用のものがあると便利です。
特に、天ぷらや厚みのある揚げ物、姿揚げなどがお好きなら、ぜひ天ぷら鍋を用意してください。
中華鍋やフライパンで代用できる揚げ物料理もたくさんありますが、調理中のメリットとデメリットがありますので、この記事で紹介したコツを参考になさってみてくださいね。
オーブンがなくても!フライパンや魚焼きグリルを使ったローストビーフの作り方
フライパンで上手に「ホットサンド」を作るコツ&おすすめレシピ♪