ぬか漬けは保存食としても優秀な発酵食品です。
なんとなく古臭いイメージがあるかもしれませんが、ぬか漬けは野菜の栄養価を最大限に引き出してくれる“賢い”食べ方。
腸内環境を整えるため、話題の免疫力アップにも一役買います。
今回は「ぬか漬け野菜」の栄養価に着目!おいしい漬け方、美味しく漬かる容器などをご紹介します。
食事の栄養バランスが気になっているなら、ぬか漬けが食卓の栄養価をぐんと引き上げてくれるかも。必見です!
目次
ぬか漬けで栄養価UP!オススメの野菜3選
野菜にはそもそも健康に欠かせない栄養素がたくさん含まれています。
ぬか漬けは保存食としても優秀ですが、実は漬けることで野菜の栄養価がアップするのもメリットの一つ。
生のままでは食べにくい野菜も、ぬか漬けになればあら不思議! 食べやすくなるのもメリットです。
まずは健康面からオススメできる野菜たちをご紹介します。
【ニンジン】ぬか漬けでβカロテンの吸収率アップ!
緑黄色野菜の代表格ニンジン。日本に暮らす人にとっても、とても身近な野菜です。
このニンジンも、ぬか漬けによって栄養価がアップします。
特にアップする栄養価はβカロテンです。
βカロテンは油と摂取すると吸収率が高まることでも知られていますが、実は、米ぬかにも油分が含まれているので最適な組み合わせ。
油と一緒に食べようとすると、「炒めもの」「ドレッシングをかけたサラダ」などのイメージがあります。
しかし、ぬか漬けにすればそれだけでβカロテンの吸収率はアップするんですね。
ぬか漬けでアップするニンジンの栄養価
また、βカロテン以外にも、ビタミンBやビタミンEの栄養価もアップします。
ビタミンBやEは新陳代謝と血行を促進してくれるので、健康増進のためにはぜひ摂りたい栄養素です。
生のニンジンをポリポリいただくのは苦手な人も、ぬか漬けなら食べられるという人が少なくありません。
室温にもよりますが、ニンジンは1〜2日漬けておけば美味しく漬かります。
料理後に余ったニンジンを、ぬか床の隅っこに埋めておくといいでしょう。
【ナス】抗酸化作用のあるナスニンや代謝アップにも期待
「ナスには栄養がない」なんて噂を耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、ナスには抗酸化作用が期待できるナスニンが含まれます。
ナスニンはポリフェノールの一種で、眼精疲労にもいいと言われる栄養素。皮の部分に多く含まれます。
ナスの皮には他にも、脂肪燃焼や代謝のアップに関わるクロロゲン酸も含まれています。
ぬか漬けなら皮ごと食べられるので、ナスニンもクロロゲン酸も、余すことなくいただくことができますね。
ナスの変色を防ぐ漬け方のコツ
ナスはぬか漬けにすると鮮やかな色がくすんでしまいます。
もし、色よく漬けるなら鉄玉子(※)を入れるか、塩をしっかり揉み込んでから漬けるようにしてください。

美味しく漬けるコツは、よく発酵したぬか床に入れること。
写真のようにタテ半分に切れ目を入れて、2〜3日程度。
少し長めかなと思うくらいしっかり漬けるのがポイントです。
【白菜】ビタミンCをまるごと効率よく摂取!
白菜(ビタミンCをまるごと得られる)
健康のためにぬか漬けを食べるなら、ぜひ、白菜を!
なぜなら、白菜はぬか漬けにするとビタミンCを効率よく摂取できるからです。
生で食べるのには抵抗のある白菜ですが、ぬか漬けならパクパク美味しくいただけますね。
ビタミンBと一緒に摂取すると炭水化物を効率よく燃やしてくれるので、豚肉料理と一緒にいただくのがおすすめです。
白菜はいったん浅漬けにしてからぬか漬けに
白菜を漬けるときは、昆布と塩で一旦浅漬けにするのがポイント。
浅漬けの水気を切ってぬか床へ入れれば、半日〜1日半ほどでできあがります。水分の多い野菜ですので、ぬか床が緩むのを防ぐためにも浅漬けにしてください。
お好みで山椒の実やゆずの皮など入れても風味が良くなります。
意外な美味しさでオススメのぬか漬け野菜
ネバネバが特徴的なオクラ、香りの強いセロリ、薬味の定番ミョウガなど、ちょっと意外に思えるような野菜もぬか漬けにはおすすめです。
オクラ
オクラは茹でて食べるのが一般的ですが、ぬか漬けにするなら生のままでもいただけます。
オクラはヘタの部分を取り、塩で板ずりしましょう。
チクチクと気になる産毛のようなものも、板ずりすれば気になりません。
サッと水に流して布巾で水気を拭いたら、ぬか床に入れてください。
オクラは食物繊維が豊富で、腸内環境をクリアにしてくれる野菜です。ぬか漬けの乳酸菌が相乗効果となり、腸内環境を整えるのに一役買ってくれるでしょう。
セロリ
セロリは茎の部分のすじを取って漬けましょう。
新鮮なセロリなら、葉っぱを一緒に漬けてもOKです。
セロリといえば独特のクセが苦手だと言う人もいるかもしれませんが、ぬか漬けにすると不思議と独特の香りは中和されます。
漬かりにくいことがあるので、軽く塩もみをしてから1〜2日間漬けてください。
私はちょっと長めに漬けておくのが好きで、3日くらいからが食べごろだと思っています。
セロリは食物繊維のイメージがありますが、ビタミンCやビタミンEが豊富な野菜。
実は茎部分よりも葉っぱ部分のほうが栄養価は高く、βカロテンもいっぱい含まれています。
刻んでお豆腐にのせたり、ドレッシングに混ぜたり、アレンジしてもおすすめです。
みょうが
薬味として定番のみょうがですが、ぬか床に入れるときには切れ目を入れて漬けてください。
切れ目を入れないと、なかなか漬かってくれないのです。切れ目はどんなふうに入れてもOKですが、私はタテに割るように切れ目を入れています。
漬け頃はお好みですが、しっかり目が好きなら数日間は漬けたほうがいいでしょう。
浅めの漬け具合が好きなら、しっかり塩漬けしてぬか床に入れると美味しく漬かります。
ミョウガはぬか漬けになることで、ビタミン・ミネラルが豊富になり、カリウムもたっぷり摂取できます。
血行促進や食欲増進などにも効果がありますが、むくみ防止にも効果的。暑い夏はミネラルが抜けてむくみやすいので、積極的に取り入れるといいでしょう。
陶器? ホーロー? ぬか漬けの容器選びのポイント
ぬか漬けを漬けるなら、容器選びも重要です。
なぜなら、漬けにくい、自分に合っていない容器を選んでしまうと、毎日続けるのが大変になるからです。
「ぬか漬けは続かない」「ぬか床の管理って大変なんだよね」という人ほど、ぬか床のサイズが間違っているのかもしれません。
ぬか床の容器を選ぶときには、食べる頻度・家族構成などによって適したサイズを選ぶようにしましょう。
ここでは、一般的に手に入りやすいぬか漬けの容器を素材別にご紹介します。
琺瑯製(ホーロー製)の容器
昨今定番になりつつあるホーロー製のぬか床容器。
長方形や寸胴型など色々ありますが、十分な大きさで無駄がなく、多くの野菜を漬けられます。かき混ぜやすいのもホーロー製の容器の特徴です。
このホーロー製の容器サイズは4Lで、米ぬかを2L程度入れても十分な余裕があります。
ナスやきゅうり、小さめのニンジンやカブなどを一度に1つずつ漬けられるくらいの大きさです。
ぬか漬けをする際には、ぬか床の表面をキレイにならし、それ以外の汚れはすべてキレイに吹き取る必要があります。
ホーロー製の容器は真っ白なので、ぬかの拭き取り忘れも心配ありません。
プラスチック製の容器に比べて丈夫で清潔なので、初心者でも管理がしやすい容器と言えます。
プラスチック製の容器
ぬか漬け用の容器として、プラスチック製の容器も手に入りやすいです。
こちらのプラスチック製のものはホーロー製のものと比べて容量は少なく、ぬかが1L程度入ります。
ニンジンときゅうりを漬けたらいっぱいになる大きさです。
手軽な大きさなので、ぬか床を続けられるか不安な方にはこれくらいの大きさから始めるのもいいかもしれません。
陶器の壺
昭和レトロ感漂う感じが可愛らしい陶器の壺もおすすめです。
サイズ展開は幅広いですが、写真のものは容量0.9Lサイズの壺でぬかが約0.5L程度入る、ぬか漬けの容器としては小さめのサイズ。
見た目からも美味しそうで、趣がありますよね。
光を通さないので、ちょっとした棚に置いて保管することもできます。
ただ、このサイズでずっとぬか床を維持するのは難しいかもしれません。
そのため、「分けて漬けたいものがある」場合など、短期間漬けるためのぬか床として使用しましょう。
漬け終わったら大きなぬか床に戻したほうが、安定的に発酵させることができると思います。
こちらの壺のサイズだと、きゅうりなら半分にしたものを1本分、ナスなら小さめのものが1つ分漬けられます。
全体に匂いや色を移したくない場合は、このような小さめの容器にぬか床を別に取って、分けて漬ける管理しやすいです。
ぬか漬けは、野菜だけでなく玉子やこんにゃくなどを一緒に漬けることがあります。
その場合も、このような容器で別に取っておけば、匂い移いや風味が変わることなどを気にせず済みますね。
ビニール袋
最近はジッパー付きのビニール袋でぬか漬けをする方もいらっしゃるようです。
しかし、ホーロー製や陶器に比べると耐久性はありません。
袋でつけるタイプのぬか床は市販もされていますが、使用期限が「1ヶ月」など決められているものもあって、長期間続けるのには適してないと言えるでしょう。
また、ビニール袋の場合は中に入れた野菜が潰れてしまったり、中の野菜が動いてしまったりして、上手に漬からないこともあります。
ぬか漬け体験をしてみたいという方にはおすすめですが、継続することを考えるのであれば、最初から丈夫な容器で取り組みましょう。
食べる「量」と「頻度」がカギに!
最適なぬか床の大きさは?
容器を選ぶときには、まず、ぬか漬けを食べる頻度から量を逆算します。
ぬか漬けは塩分も多く含まれますので、1日の摂取は片手の手のひらにのるくらいに抑えるのがベスト。
一人あたりの1日の摂取量は、きゅうりなら1/2本くらいが目安です。
家族2人ならきゅうり1本分、家族4人ならきゅうり2本ということになりますね。
この目安を覚えておかないと、漬けすぎてしまって食べきれず、処分してしまうことになるので注意が必要です。
ライフスタイルから考える「ぬか漬け容器」のベストサイズ
古漬けを楽しみたいという方なら、たくさんの野菜を漬けておいて少しずつ掘り起こして食べるのもおすすめ。
この場合、大きめの容器を選ぶと便利でしょう。
洋食メニューの多い家庭では、ぬか漬けを毎日食べないこともあります。
この場合は、小さめの容器のほうが管理はしやすいです。
忙しい家庭ではぬか床は小さめがおすすめ
忙しい家庭では、ぬか床は必ず小さめのものを選んでください。
大量のぬか床を管理するのは意外と面倒で、忙しいと“必ず億劫”に感じます。
すると、手入れをサボるようになったり、後回しにするようになるんです。
一方で、小さめのぬか床は少量ずつしか漬けることはできませんが、管理のハードルは低くなります。結果として異常発酵などの失敗を防ぐことにつながるんですね。
もし、家事に時間を割けないのであれば、心理的ハードルを下げることはとても大切です。
目安は、家族4人で1L程度のぬか床くらい。
2Lは少々大変に感じるかもしれませんので、ぬか床生活に自信が持てるまでは1Lから始めるといいでしょう。
冷蔵庫でぬか漬けを保存したい場合
小さめの容器であれば冷蔵庫保管もしやすくなります。
夏場などはぬか床は朝晩必ずかき混ぜたほうがいいのですが、冷蔵庫で保管すれば、かき混ぜるのは2日に1回でもOK。
発酵のスピードが遅くなるため、ぬか漬けの出来上がりは遅くなりますが、その分管理は楽に、腐敗する失敗も防げます。
3Lくらいまでは冷蔵庫保管できるので、家族の人数、毎日の忙しさ、冷蔵庫保管の点も加味して容器を選びましょう。
変わり種を漬けるならより小さめの容器を活用
ぬか漬けに漬ける具材は、基本的になんでもOKです。お豆腐や卵、こんにゃくなど、え?っと思える食材も漬けてみるとおいしいですよ。
ただ、匂いの強い具材など、変わり種を漬けるとぬか床に匂いが残ることがあります。例えば、にんにくを漬けた場合、当分の間、ぬか床はにんにくの香りに染まってしまうのです。
こんなふうに、ちょっと変わり種を漬けたいというときには、より小さめの容器を活用しましょう。
メインで使っているぬか床から必要な分を取り、いつもどおりに具材を入れて漬けるだけでOKです。
ぬか床は粒山椒やゆずの皮などを入れても美味しいのですが、香りが強くなりすぎるなどして失敗してしまうことも……。
この場合も、小さなぬか床なら安心して挑戦できます。
ぬか床の「休日」を加味して計算
実はぬか床にも、お休みが必要なのをご存知でしたか?
ぬか床は生き物という人もいますが、その言葉の通り、365日漬けてしまうと菌が疲れてしまいます。
外から色んな野菜が立て続けに入ってくると、だんだんと菌が疲れて発酵に元気がなくなってしまうのです。
なので、ときおりお休みさせることが必要になります。
逆に言うと、ぬか床は毎日漬けなくても美味しく保つことができます。目安でいうと、1度漬ければ数日は何も漬けなくても大丈夫です。
ぬか床を1日1〜2回かき回していれば、数日は漬けなくても問題ありません。
難しいと思われがちなぬか床生活ですが、あまり堅苦しく考えなくても大丈夫。
異常発酵して腐敗するまでいかなければ、何度でも復活するので気楽に構えましょう。
あなたに合うぬか床サイズでチャレンジ
いかがでしたか?
「ぬか床をダメにした経験がある」というかたは、ぜひ、容器の大きさを見直してみて、再チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
もしも、あなたがぬか床初心者なら、1Lなど、小さめの容器からチャレンジしてみることをおすすめします。
今回ご紹介したように、ぬか漬けには食材の栄養価をアップさせるメリットがあります。
健康的な食生活を楽しめるよう、この記事が参考になれば幸いです。
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