甘くておいしいハチミツですが、ただ甘いだけではありません。
砂糖に比べるとカロリーも低く身体によいと言われ、ハチミツがもつ抗菌パワーなど様々な栄養効果を期待して食べる人が増えています。
ただ、ハチミツを食べ慣れていない方だと、普段の食事で積極的に取るのは難しかったりしますよね。
そこで今回は、気になるハチミツの栄養効果や摂り方、食べるときの注意点、普段の食生活に気軽に取り入れるための簡単で美味しいハチミツを使ったレシピなどをご紹介します。
目次
ハチミツは栄養たっぷり
ハチミツには糖分だけではなく様々な栄養素が微量ずつ含まれています。ミネラル27種類、アミノ酸22種類、ビタミンB群、ポリフェノール10種類などなど。
ハチミツを食べるとこれらの栄養素も少しずつ摂取できるのが嬉しいですね。
ハチミツは砂糖と比べてカロリーは約25%低いのですが、甘さは1.3倍。それで少量でも甘さを感じられるというメリットもあります。
ハチミツの甘さのヒミツとエネルギー補給効果
ハチミツの甘さは果糖とブドウ糖からきています。
これは砂糖の成分である「ショ糖」が分解された状態です。
そのためハチミツは消化の際、胃腸に負担がかかりません。
ハチミツに含まれるブドウ糖は、すぐに吸収されてエネルギーに変わるので、即効性があります。一方で、果糖はゆっくり吸収されるため、持続性があります。
この即効性と持続性を兼ね備えたハチミツは、効率のよい糖分補給をしたいときにぴったりなんです。
こんなときにハチミツがおすすめ!
普段から積極的に摂りたいハチミツですが、特におすすめなのは下記のような状況です。
- 疲労回復したいとき。
- 頭を使う作業の一休みに。
- 体力が落ちているとき。
ハチミツドリンクでリラックス
ハチミツはリラックスしたいときの飲み物にもおすすめです。
実はハチミツはあんなに甘いのに、砂糖より虫歯になりにくい性質があります。
虫歯菌は砂糖から「不溶性グルカン」を作り、それが歯の表面に付着するプラークを形成するのですが、ハチミツの甘み成分ブドウ糖と果糖からはそれが作られません。
そのため、寝る前にハチミツを摂っても虫歯になりにくいのです。
また、ハチミツに含まれるアミノ酸から眠気を誘う「メラトニン」やリラックスさせる「セロトニン」と言ったホルモンが生成されます。
それで1日の疲れをいやすのに、ハチミツ入りのドリンクは効果的なんです。
たとえば、アルコール分を飛ばして飲みやすいハチミツホットワインはいかがでしょうか。
はちみつホットワイン
※(マグカップ1杯分)
- ワイン150㏄
- オレンジジュース50㏄
- はちみつ 大さじ1
- ワインとオレンジジュースを耐熱カップに入れ、電子レンジで3分温めます(アルコール分を飛ばすため、少し長めに加熱します)。
- 非常に熱くなっているので注意して取り出します。
- 飲み頃に冷めたところで、ハチミツを直接カップに入れてかき混ぜます。
- できあがり。
通常ホットワインにはシナモンやクローブなどのスパイスを入れますが、スパイスなしでもハチミツの独特な風味を生かせます。
甘酸っぱいホットワインです。
便利グッズ「はち蜜マドラー」


ハチミツをすくってそのままカップに入れ、かき混ぜるマドラーとして使うと便利です。
ナッツのはちみつ漬け
栄養豊富なナッツとハチミツを一緒に食べられることから、スーパーフードとして話題になったこともある食べ方です。
- アーモンドやクルミ、ドライフルーツを瓶に入れ、浸るようにハチミツを注ぎ入れます。
- 1日置くとよく馴染み美味しく食べられます。
このままスプーンで一口すくって食べてもいいですし、ヨーグルトやクラッカーのトッピングとしても。
チーズにのせて、おつまみにもなります。
奥が深い!蜂蜜のさまざまな種類と味の違い
ハチミツはどの花の蜜でできているかによってたくさんの種類があり、味も色も変わります。
特定の花の蜜がメインのものを「単花蜜(たんかみつ)」、様々な花の蜜が混ざっているものを「百花蜜(ひゃっかみつ)」と呼びます。
ハチミツの色や味の違い
ハチミツの濃さは水分が23%以下と決まっていますが、花によって色の濃さが違います。また同じ花のハチミツでも土地やその年の気候などによって味が変わるのがおもしろいところ。
ヨーグルトやトーストに使うと味の違いがわかりやすいので、2~3種類を比べながら食べてみて、好みの味を見つけてもいいですね。
代表的な日本のハチミツの種類
- れんげ・・・「ハチミツの王様」と言われ、コクのある優しい甘さが特徴です。しかし最近ではレンゲ畑が少なくなり、貴重になっています。
- アカシア・・・「ハチミツの女王」とよばれるクセのない味です。さらりとしていてしつこくないのでどんな料理にも合いやすいのが特徴。果糖が多く結晶化しにくいハチミツです。
- クローバー・・・世界中でポピュラーで、クセがなく上品な甘さです。
- そば・・・濃い色で黒砂糖に似たコクがあります。ソバのポリフェノールのルチンを多く含み、海外でも大人気。日本では北海道を中心に作られています。
- ひまわり・・・大きな花のため花粉も多く混入し、その分栄養価も高くなります。濃厚な甘みとさわやかな酸味が感じられます。
優しい甘さのタイプは和食の味噌や醤油との相性も良いです。いろいろな料理との組み合わせも試してみてください。
昔ながらの「はちみつ大根」で咳を鎮める
喉がイガイガするときや、夜中に咳が止まらないときなどに「ハチミツをなめると良い」というのは、世界で古くから民間療法として伝わっています。
ハチミツの保湿効果、殺菌作用、酵素のはたらきなどなどいろいろな要因が考えられますが、実はどの成分が効いているのかは近年の研究でもまだ特定できていません。
日本でも「おばあちゃんの知恵」の1つ、「はちみつ大根(大根飴)」が、家庭で簡単に作れる咳止めとして有名ですね。
はちみつ大根の作り方
大根の辛みであるイソチオシアネートという成分に抗炎症作用があり、ハチミツ効果と合わせて摂ることができるシロップです。
- 大根
- ハチミツ
- 蓋のできる容器
- 大根は皮をむき、容器の高さに合わせて輪切りにします。
- 大根に細かく切込みを入れます。
- 切ってすぐ、ハチミツで空気を遮断するイメージでかけます。
- 数時間置いて完成。

写真では根元をつなげたままにしておくために、まな板の上に割り箸を置いて切っています。
大根の切り方はお好みで構いません。細かく切ることで、大根のイソチオシアネート成分をたくさん出すことができます。

イソチオシアネートは大根の断面から揮発しやすいので、切ってすぐハチミツで空気を遮断するイメージでかけてください。
ハチミツの量はこの切り方の場合は大根の高さの3分の1くらいかければOKです。すぐに大根から水分が出てカサが増えます。

数時間置くとたっぷり水分が出てきました。
これが喉にいいシロップです。
はちみつ大根シロップの飲み方
はちみつ大根のシロップをスプーン1杯程度飲みます。
1日に何回飲んでも問題ありません。3~4日程度で飲みきるようにします。
そのあとの大根は水分が出切ってしんなりしています。上から醤油をなじませておくと漬物として食べられます。
蜂蜜は腐らない?ハチミツの上手な保存方法
ハチミツは直射日光を避け、常温で保存します。
戸棚の中などが最適。
開封済みのものは瓶の中にパンくずなどが入り込まないよう、清潔にしておきましょう。賞味期限は2年から5年ほどで記載されていますが、実際にはハチミツ自体は腐敗しないため、長期間保存しても食べられます。
風味が変わっている可能性もありますので、気になる場合は料理に使って消費するのがおすすめです。
はちみつが固まったら?結晶化の原因と戻し方
ハチミツは低い温度になると結晶化します。ハチミツの成分である天然のブドウ糖が多いほど結晶しやすくなります。
これは純粋ハチミツだからこその特徴で、「加糖ハチミツ」ではほとんど結晶化しません。
(ただしアカシアはちみつのように、純粋ハチミツでも結晶しにくいものもあります)
白く固まってしまっても品質自体が劣化したというわけではないため、食べても問題はありません。
が、固まってしまうと食べにくいですよね。
それでは、どのように戻せばいいのでしょうか?
結晶化したハチミツをそのまま食べる
固まったハチミツは、砕いてそのまま食べる方法があります。食感がザラザラしますが、ジャムのようにパンに塗りやすく、こちらの方が好きという人も少なくありません。
しっかりしたスプーンなどでザクザクと突くようにして砕きます。
便利グッズ「くるりとハチミツスプーン」

ハチミツが液体状のときも、このv字部分にたっぷりとすくうことができます。

ハチミツ専用としてあると便利なスプーンです。
電子レンジで溶かす方法
ハチミツは温めると溶けますが、高温になると栄養成分の中で変質するものがあるため、60度程度の温度で温めるようにします。
使う分だけ耐熱容器に取り出します。
電子レンジの弱モードで30秒温めます。サラサラになりました。
加熱しすぎると沸騰してあふれるので注意してくださいね。
ハチミツが入っている元の容器のまま電子レンジにかけるのは、容器の変形や割れの恐れがあり危険です。
様子を見ながら電子レンジにかける場合は、忘れずにふたは外してください(中の空気が膨張して中身が暴発するのを防ぐため)。
一番おすすめ!湯せんで溶かす方法
ハチミツの瓶ごと湯せんすると、きれいに溶かすことができます。
少し冷ましたお湯(60度ほど・手で触れるが長く浸けてはいられないくらいの熱さ)に瓶ごと漬けます。
時々かき混ぜながら置いておくと、30分後にはほとんどサラサラの状態に戻りました。
固まり具合によってはもう少し時間がかかるかもしれません。
溶けたら取り出しやすい容器に移し替えておくことをお勧めします。
便利グッズ「シリコンスプーン」

これは混ぜるのにもすくうのにも適した硬さでちょっと長めの柄が使いやすいシリコンスプーン。
ヘラのようにも使えます。足がついていて、直接テーブルにつかないところもいいですね。
ハチミツでやわらか肉料理
ハチミツを肉料理に使うと、しっとり柔らかく調理ができます。
これはハチミツのもつ保水性と酵素の働きによるもの。
ハチミツは浸透性がよく、肉内部まで浸み込みます。
それで加熱しても肉がぎゅっと固く収縮するのを防いでくれます。
またハチミツにタンパク質を分解する酵素(プロテアーゼ)が含まれていることもお肉を柔らかくする理由です。
そして調理した時にはハチミツがカラメル化して肉の表面を覆うため、さらにしっとり、味は香ばしく仕上がります。
【おすすめレシピ】蜂蜜照り焼き
- 鶏もも肉 2枚
- ハチミツ大さじ1
- 醤油大さじ1
- 生姜汁小さじ1
- ビニール袋に肉を入れ、ハチミツ、醤油、生姜汁をかけて袋の上からもみ込みます。
- その後30分漬け込みます。もっと長く漬けておいてもOK。
- フライパンや魚焼きグリルで焼きます。
- つやつやな照り焼きのできあがり。
鶏の胸肉や、豚もも肉などパサつきがちなお肉も、このハチミツを使った下ごしらえでしっとりさせることができますのでぜひお試しください。
濃い目の味でお弁当のおかずや作り置きおかずとしてもぴったりです。
ハチミツを使った「作り置きレシピ」
さらに、作り置きして毎日食べたいハチミツの便利レシピについても2つ紹介します。
【レシピ1】ハニーマヨソース
- ハチミツ
- マヨネーズ
作り方は簡単! ハチミツ1に対してマヨネーズ2の割合で混ぜるだけ。
このソースは揚げ物につけてもいいし、サラダのドレッシングとして使うのもおすすめ。甘さとしょっぱさのバランスが絶妙で、トーストに塗って焼くとはまってしまう人も多いソースです。
【レシピ2】玉ねぎのはちみつピクルス
- スライスした玉ねぎ 1玉分
- 酢 大さじ1
- はちみつ 大さじ1
- 塩コショウ 少々
甘くて食べやすいハチミツの酢漬けです。
- 材料をすべてを和えて保存容器に入れておきます。
- 一晩経ってからが食べごろ。
赤玉ねぎで作ると色合いもきれいで、脂っぽい料理に添える口直しとしてもおすすめ。
ハチミツを食べるときの注意点
ハチミツの効果はほかにもたくさんあります。
抗菌力や傷を癒す力などが古代から注目されてきました。
しかし、ハチミツのどの成分がどの作用につながるのか、といった点ではまだまだ解明されていない部分が多くあります。
ハチミツのような健康にいいとされる食品の場合、まだ実証されていない内容を含めあらゆる情報が出回っていますので、振り回されすぎないようにすることも大切になってきます。
砂糖より栄養価が高いとはいえ、カロリーが高いので食べすぎには注意が必要。
花粉症の方や乳児は要注意
花粉症の方は、ハチミツに含まれる花粉に反応が出る場合もありますので、少量試して様子をみてください。
また、ハチミツは1歳未満の乳児には与えてはいけません。
まれにハチミツに混入することのあるボツリヌス菌に対する抵抗力が赤ちゃんにはないため、「乳児ボツリヌス症」になる危険があります。
おわりに
ハチミツの栄養や効果、積極的に食生活に取り入れるためのおすすめレシピをご紹介しました。
ハチミツを食べて「好きだな」「なんとなく体調がいいな」など実感できる場合は、毎日の料理に使う頻度を増やしてみるのもいいかもしれません。
ミツバチが一生懸命集めた自然のハチミツは大事に楽しみたいですね。
この記事でご紹介したレシピも、どうぞお試しください。

