たまに輸入雑貨のお店などで見かけることのあるドイツの「ザワークラウト」という食べ物。どんなものかというと、キャベツを乳酸発酵させたものなんです。
「ドイツ版のお漬物」といわれるザワークラウトは乳酸発酵させているため、実際に食べてみると酸味があります。
保存食としても優秀で、日持ちするのが特徴。
ドイツでは、ソーセージなどのつけあわせとして、たっぷりのザワークラウトを添えるのが定番です。
(日本で市販されているものの中には「ザワークラウト風」といって、キャベツを乳酸発酵させずビネガーと和えただけのものなどもあります。そうしたものは価格が安めですが、やっぱり本物のザワークラウトより風味が劣ります)。
実はこの「ザワークラウト」、自宅でも簡単に作れちゃうって知っていますか?
今回は、本場ドイツの味に近い自家製ザワークラウトの簡単レシピ(作り方)、失敗しないコツなどをご紹介します!
「ザワークラウト」ってどんなもの?
ザワークラウト(Sauerkraut)はドイツ語で「酸っぱいキャベツ」を意味します。
実際に酸味がありますが、本物のザワークラウトには酢酸の類が使用されておらず、乳酸発酵で酸味が生まれます。
ザワークラウトを作るのに使うのは塩だけ。それではなぜ乳酸発酵するのかというと、実はキャベツにはもともと乳酸菌が住んでいるからなんです。
キャベツに住む乳酸菌の発酵を促して作る食べ物ですから、まさに自然の恩恵と言っても過言ではありません。そんなザワークラウトは栄養価がとても高く、たっぷりのビタミンCと乳酸菌のほか、クエン酸やナトリウム、食物繊維などが含まれています。
乳酸菌には整腸効果がありますから、便秘気味の方には特にいいかもしれませんね。
また、夏バテ防止にいいとされており、定番のウィンナーと組み合わせることでたんぱく質を摂ることもできるので、食欲がないときの献立にも理想的です。
最近は免疫力アップに発酵食品がとても注目されていますので、是非この機会につくってみてくださいね。
基本的な「ザワークラウト」のレシピ
それではさっそく、ザワークラウトを作っていきますよ。
今回は、大玉のキャベツの半分の量を使います。もちろん、たくさん作って保存しておくこともできるので、お好みの量でお試しくださいね。自家製ザワークラウト作りに使うものは、以下の通りです。
- キャベツ 1kg
- 塩 20g(キャベツの2%分)
基本的にキャベツと塩だけあればザワークラウトを作ることができますが、より本場の味に近づけたり風味を高めたかったりする場合は、ローリエを1~2枚程度、キャラウェイシードを大さじ1程度、種をとった鷹の爪1本を加えてください。
お好みでタイムやオレガノなどのハーブやスパイスでアレンジしてもかまいませんよ(ちなみに私は、キャベツと塩、ローリエとキャラウェインシードで作るシンプルなザワークラウトが好きです)。

キャベツに泥などがついていると雑菌が混入することがあるので、表面の皮を2~3枚むいてからザッと洗って水気を拭きます。

好みの幅にキャベツを切ります。
私は写真くらいの、比較的広めにカットした方が歯ごたえがあって好きですが、細く千切りにした食感も好きです。
本場ドイツでは、千切りにしたものが多い様子。

カットしたキャベツをチャックつきの保存袋に入れ、2%の塩を加えて手で揉み込みます。
力加減は遠慮せず、キャベツをギュッギュッと揉んでくださいね。次第にキャベツがしんなりしてきて、水分が出てくるのが分かるはずです。
全体的にしんなりしたら、次の工程に進みます。
ローリエやキャラウェイシード、唐辛子などを入れる場合は、この段階で入れてください。

保存袋の空気を抜き、平らにならしたら重しを乗せます。
いつもは漬物石を重しに使っているのですが、今回は別の用途で使っていたため、飯台に水を入れたものを乗せています。
どんな方法でも、とにかく均一に重しをすることができればOK。このまま一時間ほど置いておきます。
重しを乗せることでキャベツの水分が抜け、同時に乳酸菌がブワッとあふれてきて全体に回ります。
ちなみに、このまま三日程度置いておいてもOKです。
そのままザワークラウトが完成しますが、今回はこのまま置いておくと場所をとって邪魔だったので、一時間で重しを外します。

キャベツから水がたっぷり出てきたら、もう一度中の空気をしっかりと抜き、水がキャベツ全体に行き渡るよう調整して常温で放置しておきます。
ポイントは、キャベツをしっかり水に浸からせること。
この水には、乳酸菌がたっぷり含まれています。乳酸菌は雑菌などからキャベツを守ってくれる働きがあるため、キャベツが水に触れていないと腐敗する可能性があります。
三日もすると緑色だったキャベツが白っぽくなり、香りも酸味のある香りに変わっているはずです。
乳酸菌の爽やかな香りは食欲をそそりますが、もしここで「うっ」と直感的に不快さを覚えるような匂いになっていたら、残念ながらそれは失敗。雑菌が乳酸菌に勝ってしまい、腐敗してしまっている可能性が高いです。
自家製ザワークラウトの保存方法について
ザワークラウトは、発酵を促し始めてから三日目程度から楽しめますが、あとはお好みで発酵時間を調整してください。
一週間程度置いておくケースもあります。
発酵時間が短めだと、爽やかな香りとシャキシャキとしたキャベツの食感を楽しむことができます。発酵時間が長くなるにつれて、酸味が増して味に深みが出てきます。
キャベツがいっそうしんなりするのも特徴です。お好みで発酵時間を変えてくださいね。
ザワークラウトがお好みの味になったら、そのまま冷蔵庫に入れて保管します。
冷蔵庫に入れることにより乳酸菌の活動が弱くなるため、過剰な発酵を防ぐことができます。
ザワークラウトをおいしく作るポイント
ザワークラウトを作る上で一番気をつけたいのは、やっぱり雑菌です。
実は私も、過去に一度ザワークラウト作りを失敗してしまったことがあります。
当時はザワークラウトのいろいろな作り方を試行錯誤しており、実験的なことを行っていました。
失敗したケースでは、塩で揉んだザワークラウトをあえて煮沸消毒していない保存瓶に入れ、さらに直射日光下で置いておきました。
結果、完全なる腐敗とまではいかないものの、いつもとは違う匂いが混じっており食べられませんでした。
ただ、このときにわかったのは、ザワークラウトは意外とそこまで腐りやすいものではないということ。
雑菌の混入には気をつけたいところですが、ご家庭で作る分にはそれほど神経質にならなくても大丈夫なのかなという印象です。
また、保存瓶を清潔に使用するためいちいち煮沸消毒するのは、正直手間ですよね。
ですので、今回はチャックつき保存袋一枚で完結できる方法をご紹介しました。最近は私も、このやり方で作ることが多いです。
冷蔵庫で保存するときにも場所を取りませんし、とてもオススメですよ。
さいごに
自家製ザワークラウトは、簡単に作れちゃう上に栄養満点で味も美味しいです。
健康にさまざまな恩恵がある乳酸菌は、ぜひとも積極的に食生活に取り入れたいですよね。
ザワークラウトはそのまま食べてもおいしいですが、肉系のお料理(特にソーセージ)との相性は本当に抜群です!
ぜひともご自宅で本場ドイツの食文化を楽しんでみてください。