生魚が大好きな日本人。スーパーなどでお刺身やお寿司が並んでいると、つい目がいってしまいますよね。
パックのお刺身もいいですが、実は魚の身は切ったその瞬間から断面の酸化が進んでいきます。また、切断面の水分も減少するので、本当においしくお刺身を食べるなら、直前に切りつけるのが一番。
お魚を冊で買ってきて、自宅で簡単にお刺身を作れるといいですよね(しかも切ったものより経済的!)。
でも「柵をキレイに切れない…」と悩んでいる人や、そもそも切り方がよく分からないという人も多いのでは?
そこで今回は、ご家庭でも簡単に出来る冊の切り方をご紹介します!
お刺身は普通の三徳包丁でも切れる?
お刺身は使う包丁や切り方一つで味が変わると言われています。
理想を言うなら、板前さんなどが使っている刃渡りの長い柳葉包丁を使うのが一番。
でも、そんなプロ仕様の包丁があるご家庭なんてそうはないですよね。
なので、今回はどこのご家庭にもありそうな三徳包丁(錆びて刃まで欠けていたあの包丁です!)で実演してみたいと思います。
実践!おうちで出来る「包丁研ぎ」~錆びた包丁を蘇らせよう~
お刺身の基本的な切り方「平切り」
冊を切るときに重要なのは、包丁の刃全体を利用し、包丁を優しく手前に引きながら一度で切ることです。

刃渡りが短く、一度で切れないときは?
今回使っている三徳包丁は、刃渡りが153mmと少し短め。正直刺身を一度で引くのは難しいです!一度で身を引けなかったときは、見た目を優先して強引に一度で引き切ってしまうか、味を優先して見た目が少し悪くなっても二回に分けて切りつけるか……一瞬の判断が求められます(笑)
平切りはどんな魚にも使えますが、マグロやブリ、サバなど、一口を豪快に食べたいお魚にオススメです。
また、魚の身は胴から尻に向かっていくにつれて、徐々に細く薄くなっていくのが普通です。尻尾部分は胴部分よりも厚めに切ることで、全体のサイズをきれいにそろえられます。
白身魚にオススメの「そぎ切り」
そぎ切りは名前の通り、冊を包丁でそぐようにして切りつける方法です。身を薄く切ることで器の模様を透かせて盛りつけを目で楽しんだり、プリッとした食感を楽しんだりできます。
天然真鯛の昆布締めなんかは身に弾力と張りがありますから、平切りよりもそぎ切りでその食感を楽しみたいですね。
そぎ切りも平切りと同様、包丁を手前に引くようにして優しく切りつけます。平切りと違うのは、包丁を寝かせているところ。はじめのうちは一定の厚さで切るのが難しいかもしれませんが、何回か切っているうちにすぐコツをつかめるはず。
お刺身盛りつけのポイント
お刺身を切ったら、次は盛りつけです。
盛りつけも意外とやってみると難しく、配色や配置、全体の構図やデザインなど考えなければならないことがたくさん……。でも、ポイントさえ押さえておけばだんだんとコツがわかってくるはずです。
盛りつけのポイント1「配色を意識する」
マグロの赤に大葉の緑、大根の白に菊の黄など、色数は多い方が華やかでいいですね。ただ、あまり色数が多くなりすぎるとごちゃごちゃしてしまうので、赤、白、緑、黄、茶の五色を意識しましょう。
器に盛りつける際も、たとえば白身魚を並べるなど同じ色を隣り同士に配置しないよう注意します。色を全体に散らす感じで盛りつけるといいですよ。
盛りつけのポイント2「方向を意識する」
お皿を見るとき、人間の視線は無意識的に左から右に流れるといいます。その視線の流れを意識して盛りつけましょう。
お刺身を並べる際も、左から右に視線を流したときに美しく映るよう、右から刺身を置いていきます。右側に置いたお刺身に少し重ねるようにしてその左に次のお刺身を盛りつけます。これを繰り返していくと、自然と左から右に美しく流れる盛りつけになります。
盛りつけのポイント3「高さを意識する」
立体感は、美しい盛りつけをする際にもっとも重要と言っても過言ではないかもしれません。薄いお刺身に高さを持たせるのは難しいですが、軽くたたむようにして盛りつける方法や、マグロなどの場合は厚めに切って立たせる方法などがあります。
もっとも一般的でやりやすいのは、やっぱり大根のつまなどを利用して高さを出す方法ですね。つまを敷いて大葉を敷き、その上にお刺身を盛りつける。これだけでそれっぽい形になってしまうから不思議です。
お刺身の基本的な盛りつけ方
流し盛り
流し盛はお刺身のもっとも基本的な盛りつけ方で、前項「盛りつけのポイント」を意識すれば自然にできてしまいます。お刺身を切ったら器の右から順に置いていく。これだけで視線が左から右に流れる盛りつけになります。あとは配色や高さを意識して、大根や大葉、わさびなどを添えてくださいね。
ちなみに私は、にんじんのつまもよく活用しますよ。細く切ったにんじんは、1~2%程度の塩水に5~10分ほど浸けておくと柔らかくなり扱いやすくなります。
平盛り
平盛りはお刺身を平面的に盛りつける方法です。丸や四角の大きな器に盛りつけるときなどにいいですね。
やはり配置や配色を意識しながら盛りつけますが、慣れないうちは右上と左下、右下と左上、上と下、右と左と対角線上に似た色のものを配置するのがいいかもしれません。
流し盛りと同様、似た色や同じ色のものを隣り合わせないよう、全体でうまくバランスをとりましょう。
我が家のお刺身の完成!
小ぶりな三徳包丁で作った我が家のお刺身盛り合わせの完成です! とても三徳包丁で作ったとは思えない出来栄え! 一度で引き切れないところは二回引いたりと、少しズルはしましたが……^^;
もちろん、牛刀などを使う場合もやり方は同じです。できるだけ刃渡りの長い包丁を使った方が、お刺身をきれいにおいしく仕上げられますよ。ただし、包丁があまり重くなり過ぎると身の細胞を破壊する原因になりますので気をつけてくださいね。
ちなみにそぎ切りの場合、冊の切り始めと切り終わりにいびつな形の冊ブロックが余ります。自分用なら薄く切ってお刺身で食べればいいですが、お寿司屋さんなど料理店ではこれをちらし寿司に使ったり巻物に使ったりすることが多い様子。お刺身で豪勢な夕食を楽しんだ翌日は、余った冊を使ってちらし寿司を楽しむのもいいですね!
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