「吸収力抜群の台ふきんは?」ということで、7種類のふきんで実験調査中です。
①ビストロ先生 綿ガーゼふきん(サンベルム株式会社)
②かや織りふきん(レック株式会社)
③白雪ふきん(垣谷繊維)
④落ちワタふきん(株式会社良品計画)
⑤激落ち マイクロファイバー(レック株式会社)
⑥不織布ふきん(レック株式会社)
⑦スポンジクロス アイビー(南海通商株式会社)
※(カッコ)の中はメーカー名、取り扱い先、以下省略。
素材そのものの吸水力が知りたい
前回の実験では、7種類のふきんで、実際に拭いてみて、拭き残ったお茶の量を比較しました。
拭き残ったお茶の量が少なく、よく吸水したふきん1位~3位はこちら。
第1位 ③白雪ふきん
第2位 ①ビストロ先生 綿ガーゼふきん
第3位 ②かや織りふきん
1位から3位のふきんは、生地が7、8枚重ねられた厚みのあるふきんです。よく吸水したのは、当然といえば当然ですね。
比べたふきんの厚みはさまざま。
大きさも、こんなに差があります。
これはフェアじゃないかも…
条件を合わせて比べる方法、何かないかな?
ふきん10gあたりの吸水量を算出
そうだ、ふきんの重さの条件を揃えてみよう!
乾いたふきんの重さを測り、前回の実験結果をもとに、ふきん10gあたりの吸水量を出してみます。
まずは、手順をご紹介。
Let’s Try !
1. 乾いたふきんの重さを測ります。
2. 前回の実験結果から、ふきん全体の吸水量を計算します。
3. ふきん全体の吸水量とふきんの重さから、ふきん10gあたりの吸水量を計算します。
ふきん10gあたりの吸水量を比較
①~⑦の7種類のふきんのデータが揃い、表にまとめました。
「ふきん10gあたりの吸水量の比較」では、⑤激落ち マイクロファイバー、⑥不織布ふきん、⑦スポンジクロス アイビーが上位にランクイン!
第1位は、⑦スポンジクロス アイビーで83ml。
第2位は、⑥不織布ふきんで50ml。
第3位は、⑤激落ち マイクロファイバーで42mlという結果になりました。
特に、1位の⑦スポンジクロス アイビーの吸収量は、3位の⑤激落ち マイクロファイバーの倍近くですよ!これはすごい!
スポンジクロスの素材をチェック!
「ふきん10gあたりの吸水量」では、ダントツ1位だった⑦スポンジクロス アイビー。
日本では、ふきんとしては、まだ馴染みの薄いスポンジクロスですが、北欧やドイツを始めとするヨーロッパでは、主流のふきんなんです。
なんだか厚紙みたいですね。
素材は、セルロースと綿。スポンジクロスによって、少し違いはあるものの、セルロースが70%、綿が30%ぐらいの割合でできています。
綿は、よく聞く素材だけど…セルロースって?
セルロースってなに?
セルロースとは、植物の繊維の素のようなもの。ちょっと広くて果てしない感じがしますが、植物だから、とても身近なものです。
毎日、食べている野菜もセルロースを含んでいます。
⑦スポンジクロス アイビーは、天然パルプのセルロース。
パルプは、木や草から取り出した繊維。パルプといえば、紙の原料です。
なるほど…だから、厚紙みたいだったんですね。
セルロースの特徴からみる吸収力の理由
素材としては、ちょっと聞き慣れないセルロース。
きっと、吸収する理由を秘めてるはず!調べてみると、大きな特徴が2つありました。
1. 水となじみやすい親水性
親水性とは、水と相性が良くなじみやすいということ。
分子の話になりますが、セルロースには、水の分子と同じ形をした部分があって、その部分と水とが結びつくんです。
水と仲良く手をつなぐ感じ…親水性、ふきんの条件としては最高ですね ♪
2. 小さな穴がいっぱいの多孔質
重さが10gと、7種類のふきんの中でも、一番軽かった⑦スポンジクロス アイビー。
それは、素材であるセルロースが多孔質だから。小さな穴がたくさん開いているので軽いんですね。
実は、この小さな穴、吸収力と深く関係しているんです!
水には、毛細管現象といって、狭いすき間に入っていこうとするという性質があります。狭いすき間が、セルロースの小さな穴だと考えてみたらどうでしょうか?
うーん…ちょっと、むずかしい言葉が出てきましたよ。
水の性質を活かしたセルロースの吸収力
毛細管現象を分かりやすく例えてみます。
アイスコーヒーにさしたストロー。ストローの中のコーヒーが少し吸い上げられているのが見えますね。
ストローをさしただけで、自然にこうなる…これが、毛細管現象なんです。
わりとよくみる光景じゃないですか?
セルロースの小さな穴は、このストローのようなもの。
水は、もともと、水同士で引き合う表面張力という力があります。
水が小さな穴に入っていくと、表面張力の力で、水が自然に吸い上げられます。穴が小さければ小さいほど、その力は大きくなるんだとか。
ということは、小さな穴がたくさん開いているセルロースには、この毛細管現象があちこちで起こることになります。
なるほど…だから、⑦スポンジクロス アイビーの吸収量は、ずば抜けていたんですね。
スポンジクロスのベストな使い方は?
吸収力に優れた⑦スポンジクロス アイビーですが、乾いていると硬くて、ちょっと使いにくいかも。
実験でも、拭きにくいなという印象がありました。
それに他のふきんと比べて、とても小さいので、食卓を拭くにしても、何だか頼りない感じがします。
抜群の吸収力を生かすなら、ふきんにこだわらず、食器の水切りマットという使い方もありかも。
小さくて、スペースを取らないし、洗った食器の一時置きに最適ですね。
水滴をグングン吸い取ってくれそう。そして、何よりも、おしゃれ ♪
次回は、惜しくも、「ふきん10gあたりの吸水量」第2位だった⑥不織布ふきんについて徹底調査。お楽しみに。
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