布団を干したり、シーツなどは洗濯したりしても、ベッドやマットレス掃除の方法についてはあまり知られていません。
「重すぎて移動できない」など、お手入れが難しそうだと思われがちです。
しかしお手入れをせずに長く放置していると、いつの間にかカビやダニの温床になってしまうこともあります。
この記事では、そんなハードルが高いとされる、マットレス掃除やベッドフレームの掃除、ベッド下をきれいに保つ方法など、ベッドやマットレスのお手入れについて、詳しく解説。
カビやダニ、おねしょなどマットレスの主なトラブルについての対処方法も併せてお伝えします。
目次
ベッドを掃除するタイミングや頻度
一般社団法人共同通信社が配信したプロクター・アンド・ギャンブルジャパン株式会社の寝具ケアに関するプレスリリースによると、300人中の72.3%が、購入後マットレスのお手入れを1度もしたことがないと回答しました。
最も多かった理由が、「お手入れの方法が分からない」で、全体の65.4%に上りました。
また64.1%の方が「マットレスが重くて手入れができない」と感じているという結果も出ています。
シーツや枕カバーを定期的に清潔にするのに対して、マットレスのお手入れは全然できていないというのが実情のようです。
最近では、防菌・防臭機能付きのマットレスが販売されていますが、長期間お手入れをしないまま汚れを放置していると、カビやダニなどの繁殖の原因になります。
清潔なシーツを使っていても、過去にシーツを浸透した汗などから、マットレスで菌が増殖している可能性もあるので、マットレスのお手入れ方法を知り、定期的に実施することをおすすめします。
参考資料
※一般社団法人共同通信社配信 プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社 News Release「ママ300人に聞く 梅雨・夏の寝具ケア実態調査 家族が一番寝苦しい夏、快眠の秘訣は『寝具のケア』! 寝具ケアの盲点はマットレス。7割のママが、マットレスのお手入れ経験ゼロ」検索日2021/12/15
マットレスは洗濯可能か
マットレスは、中身と側生地(マットレスの中身を包んでいる生地)でできていますが、マットレスの硬さや寝心地などにより、中身の素材に違いがあります。
もっとも一般的なマットレスの中身は、コイル(ボンネルコイル/ポケットコイル)、ウレタン、ファイバー、ラテックスです。
マットレスについている「洗濯表示」をチェックしていただくと洗濯の可否が分かりますが、ファイバー製のマットレスなど、本体や側生地を洗えるマットレスもあります。
洗濯できるマットレスでも、洗濯後に完全に乾燥させないとカビなどが繁殖してしまうなどの、トラブルが発生する可能性があることを理解しておきましょう。
また、洗濯不可のマットレスを無理に洗濯すると破損してしまうので、絶対にやめましょう。
どうしても洗濯したい場合は、マットレスの洗浄をしている専門の会社に相談したりすることをおすすめします。
どのくらいで掃除する?頻度別マットレスのお手入れ方法
お手入れが難しいと思われているマットレスですが、こまめにお手入れを行うことで、常に清潔な状態をキープすることができます。
ここでは、頻度別に、マットレスをお手入れする方法をご紹介します。
【毎日】日々のお手入れは布団・マットレスの換気
ヒトは、一晩に約200ミリリットル(コップ1杯分ぐらい)の汗をかくといわれています。
その汗の一部がマットレスまで達し、湿気として残ります。また布団の中は、体温で高温の状態になっています。
カビは湿度60%以上で繁殖するといわれているので、朝起きるときの布団の中は、まさにカビが繁殖しやすい環境になっているのです。
カビの繁殖を抑えるには、布団やマットレスに残った湿気を取り除く必要がありますが、その方法は、毎朝掛け布団を剥いで、布団の内側を換気することです。
窓を開けて、風通しをよくすると、より効率的に換気をすることができます。布団乾燥機を使うのも効果的です。
参考資料
※西川株式会社「湿気と汚れに要注意!布団のプロが教える寝具のカビ予防と対策」検索日2021/12/15
【週1~2回】シーツやカバー類を洗濯しましょう
毎晩使う布団は、汗や皮脂、化粧品の残りなどで、使っていくうちに汚れていきます。
マットレス自体は直接肌に触れませんが、シーツとは接しているので、シーツなどが汚れるとマットレスにも少なからず影響があります。
直接肌に触れるシーツ、枕カバーや掛け布団カバーなどは、週に1~2回は洗濯して、ベッドを清潔な状態にしておきましょう。
【素材別】枕の洗濯頻度はどのくらい?基本の洗い方と「洗えない枕」のお手入れ方法
【2週間に1回~月1回】マットレスの乾燥
マットレスが重く移動が困難だったり、立てかけるスペースがなかったり、住宅事情により難しい面はあるとは思いますが、マットレスのお手入れで有効なのは、家の中の風通しのよい場所に立てかけ、十分乾燥させることです。
特に、空気に触れることが少ないマットレスの裏面は湿気が溜まりやすくカビなどが繁殖しやすいので、マットレスを立てかけて乾燥させ、内部の湿気を飛ばしておくことが大切なのです。
立てかけるスペースがない場合は、マットレスとベッドフレームの間に厚みのある本などをはさみ、扇風機で風をマットレスの裏側にあてると除湿が進みます。
「除湿シート」を敷くことも有効な手段です。
【月1回】マットレスを掃除機掛け
マットレスの表面には、シーツを浸透した汗、皮脂、ホコリ、髪の毛など、汚れがたくさん付いています。
それらをエサにするカビやダニの繁殖を防ぐためにも、少なくとも月に1回は、マットレス表面を掃除機できれいにすることをおすすめします。その際には、粘着クリーナー(コロコロ)を使って細かい部分のゴミを取るのも効果的です。
縫い目の部分や角の部分は、汚れが溜まりやすいので、掃除機を念入りに掛けましょう。
掃除機を一方向に丁寧に掛けると、表面に付いたダニや汚れが、生地の繊維の奥に入り込む心配がありません。側面や裏面も忘れずに掛けましょうね。
月に1度はお手入れを!ベッド全体の掃除手順
ここでは、ベッドを掃除する際の手順をご紹介します。
高頻度でのベッド掃除は難しいかもしれませんが、1~2か月に1回ぐらいの頻度でベッド全体の掃除を定期的に行うと、清潔に保つことができます。

【カビ・ダニ・おねしょ】汚れたマットレスのお手入れ方法
マットレスが汚れたときの対処法は、非常に気になるポイントではないでしょうか。
ここでは、カビやダニ、おねしょなどで汚れてしまったマットレスのお手入れ方法をご紹介します。
繁殖してしまったカビの除去には消毒用エタノール
湿気が溜まりやすいマットレスはカビが繁殖しやすく、一度繁殖してしまうと落とすのは至難の業です。
マットレスについてしまったカビを取り除くには、エチルアルコール(エタノール)を使います。
市販されているエタノールには、「無水エタノール」と「消毒用エタノール」がありますが、カビの除去には「消毒用エタノール」を使います。
消毒用エタノールはアルコール濃度が約80%なのですが、その濃度のエタノールが、カビの細胞膜への浸透率が高く細胞膜を破壊し変性1性質などが変わることさせるため、カビを死滅させることができます。
カビの除去方法と手順
それでは、マットレスに繁殖してしまったカビの除去手順をご紹介します。
- 消毒用エタノール
- スプレーボトル
- 固くしぼったマイクロファイバークロス

乾燥が不十分だと、カビが再度繁殖してしまう可能性があります。乾燥にはドライヤーや扇風機などを使って、完全に乾燥させましょう。
参考資料
※文部科学省 平成20年10月28日「カビ対策マニュアル」作成協力者会議「カビ対策マニュアル 基礎編」検索日2021/12/13
※健栄製薬株式会社「COLUMN01 ~それぞれの特徴を知ろう~ 無水エタノールと消毒用エタノール、どこが違うの?」検索日2021/12/13
布団乾燥機と掃除機でダニを退治
ヒトの体内に入り込むことでアレルギー症状を引き起こす可能性があるダニ。とても厄介ですよね。
マットレスは多湿になりやすく、皮脂やアカなどダニのエサになるものが豊富です。
そうしたダニを退治するには、高温で乾燥させる布団乾燥機を使うと効果的。
その上で、アレルギー症状を引き起こさないためにも、マットレスに残ったダニの死骸などを掃除機や布団クリーナーで取り除きます。
ダニ退治の方法と手順
ここからは、実際にダニ退治するための布団乾燥機の使い方や掃除機のかけ方などの手順を詳しくお伝えします。
- 布団乾燥機
- 掃除機/布団クリーナー
また駆除した後、部屋の換気をこまめに行いマットレスの乾燥を維持しておくと、ダニの再繁殖を防ぐことができます。
参考資料
※アース製薬株式会社 アース害虫駆除なんでも事典「ダニを知る」検索日2021/12/13

クエン酸でおねしょ汚れを落とす
尿の成分は弱酸性なのですが、時間がたつと尿の成分の一部が細菌に分解され、アルカリ性のアンモニアになります。そして、臭いを放つようになります。
そうしたアンモニア臭やシミを取り除くには、弱酸性の「クエン酸」を使うとよいでしょう。
おねしょで濡れてしまったマットレスのお手入れ方法
ここでは、おねしょによる尿汚れの落とし方の手順をご紹介します。
- クエン酸(約5グラム/小さじ1)
- 水(約200グラム)
- スプレーボトル
- 乾いたタオルなど
- マイクロファイバークロス
- ドライヤー
参考資料
※大塚製薬株式会社 ADPKD.JP 多発性嚢胞腎がよくわかるサイト もっと知りたい!腎臓のこと 腎よもやま話「『尿』で知る腎臓の病気」検索日2021/12/15
寝汗には重曹で対処
弱酸性の寝汗は、弱アルカリ性の重曹で汚れと汗のにおいを落とします。
汚れを落とす際に必要なものと、落とし方の手順をご紹介します。
- 重曹(約5グラム/小さじ1ぐらい)
- 水(約100グラム)
- スプレーボトル
- マイクロファイバークロス
- ドライヤー
そうならないためにも、こまめに手入れをすることをおすすめします。
ベットフレームのお手入れ方法
ベッドをお手入れする際、ベッドフレームの掃除は忘れられがちですが、ベッドとマットレスの間、ヘッドボードとサイドレールや床板の接合部分など、汚れが溜まりやすい場所があります。
ベッドフレームの掃除は、マットレスをお手入れするために移動した際に、フレーム全体を掃除機掛けし、ホコリを落とした後、乾拭きするとよいでしょう。
水拭きしてしまうと、フレームに水気が残りカビの原因になるので、乾いたマイクロファイバークロスなどで拭きます。
ネジのゆるみも締めなおす
また、ベッドは日々使っているうちに、パーツの接合部分のネジがゆるくなってきます。
ベッドフレームを掃除するときに、ベッドのネジを締めなおしておくと、安心して長く使えるのでおすすめです。
汚れが溜まりやすいベッド下スペースの掃除と気をつけたいポイント
掃除がしにくいベッド下のスペースは、ベッドから落ちたホコリや髪の毛、外から入り込んだゴミなどで、汚れが溜まりやすい場所です。
風通しが悪く湿気が溜まりやすいため、カビが発生する可能性もあります。
ここでは、そうしたほこりなどを溜まりにくくするコツをご紹介します。
ベッド下に空気を入れる
カビの繁殖に有効なのが、ベッド下のスペースの風通しをよくし、常に乾燥した環境を作ることです。
毎日使うベッドは常に湿気を含んでいる状態ではありますが、マットレスを移動したり、立てかけたりマットレスのお手入れをするときに、ベッドフレームの床板も上げておくと、ベッド下のスペースにも十分空気を入れることができます。
床板が「すのこ」状になっているベッドは、ベッド下に空気が入りやすい構造ですが、なかなかベッド下の空気が入らない場合は、扇風機などを使って風を送り込むのも良いでしょう。
掃除しやすいベッド下環境を維持する
ベッド脚部の高さが、床から10センチほどしかないベッドフレームは、掃除機のヘッド部分がベッド下の奥まで入りにくいです。
このため、ベッドを移動させたりずらしたりしないと、汚れを除去することができません。
また、ベッド下のスペースを有効活用するために、布団のストック、着ない洋服などの収納場所として使いがち。
ベッド下に収納ケースなどを置いてしまうのも、やはり掃除機のヘッドが入らず掃除しにくい原因になってしまいます。
ベッド下には、何も置かないようにするのがよいでしょう。
収納付きベッドは収納部分にも空気を通そう
ベッド下自体が収納スペースになっているアイテムもありますが、湿気が溜まりやすいので、定期的に収納スペースを開け、通気をよくするとよいでしょう。
マットレスを快適に使うための便利グッズ
マットレスは、1度汚れてしまうとお手入れが大変なので、なるべく汚さないことが重要です。
ここでは、マットレスを清潔に保つための便利グッズを3つご紹介します。
おねしょ 対策防水シート
速乾のおねしょシーツで、洗濯機も乾燥機も使用可能です。
固定用ゴムバンドが付いていて、おねしょでマットレスを汚しにくい構造になっています。
もあさら 除湿シート
マットレスの上や下に敷き、マットレスに湿気が溜まらないようにします。抗菌、消臭、防カビなどの機能もついていています。
定期的にシートを干すことで長持ちします。
ダニ取りシートDX
天然フルーツエキスがついた誘引剤でダニを誘い、シート内に引き入れ死滅させます。効果はほぼ3か月で、使用後は家庭ごみとして捨てられます。
わが家では、子供部屋でこのシートを使っていますが、使い始めてから、子供がかゆみを訴えることはなくなりました。

まとめ
なかなかお手入れが大変なベッドやマットレスのお手入れですが、やり方を知り、なるべくこまめに行えば、ベッドをとても快適に使えます。
カビやダニなどやっかいなこともありますが、そうしたトラブルにならないためにも、定期的にお手入れをするようにしましょう。

